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明治大学の福田健太キャプテン、ピンチの場面で「できること」とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
茗渓学園高校出身。「ラグビーは生きがい。辞めようと思ったことがない」(写真:築田純/アフロスポーツ)

 明治大学ラグビー部が、2季連続で大学選手権決勝に進出。22シーズンぶりの優勝を目指す。

 1月2日、東京・秩父宮ラグビー場での準決勝で早稲田大学に31―27で勝利した。加盟する関東大学対抗戦Aでの対戦時は27―31と敗れていたが、見事にリベンジを果たした(12月2日、秩父宮)。

 前半1分に自陣からのキックをチャージされて先制を許しながら、一進一退の攻防を経て同37分にはインサイドセンターの射場大輔がトライ。フルバックの山沢京平によるコンバージョンゴール成功により、明大は17-13と勝ち越した。

 後半の序盤は、自陣で相手の37フェーズに及ぶ攻めをしのぎ切る。敵陣ゴール前まで進んだ後半20分、スクラムを起点とした攻めでフッカーの武井日向のトライなどで24―13とリードを広げた。

 続く34分にはスタンドオフの松尾将太郎のラインブレイクなどで敵陣ゴール前に侵入。フォワード陣がラックを連取し、最後はナンバーエイトの坂和樹がとどめを刺した。31―20と勝負を決めた。

 ノーサイド直前も早稲田大学の猛攻を耐え、試合後には就任1年目の田中澄憲監督とスクラムハーフの福田健太キャプテンが会見。1月12日の決勝戦への意気込みを語った。

 以下、共同会見中の一問一答の一部(編集箇所あり)。

田中

「皆さん、明けましておめでとうございます。本日は寒いなかありがとうございました。本当にどちらが勝つかわからない、タフな試合だったと思います。お互い持ち味を出していて、準決勝にも早明戦にもふさわしいものになった。勝ったことでまたひとつ成長できましたので、目標の決勝戦に向けてベストな準備をしていきたいと思います」

福田

「皆さん、明けましておめでとうございます。本日はお正月という素晴らしい時に準決勝ができて嬉しく思います。早稲田大学さんには対抗戦で負けているので、メイジとしてはリベンジしようという強い気持ちを持って準備してきました。その結果、勝てた。僕らは1月12日の決勝戦を目指して春からやってきた。その挑戦権を得られたことにほっとしています。ただ、まだ目標を達成したわけではない。どちらが相手になってもメイジのスタンダードを出せるようないい準備をして、決勝に臨みたいです」

――立ち上がりにキックチャージからの失点を喫するなど、パニックに陥りそうな状況。どう乗り切ったか。

福田

「何度もコンタクトをしていないうちにキックチャージをされた。そこはもう、アンラッキーだったかなと。早稲田大学さんに粘り強くフェーズを重ねられてトライされた方が、嫌でした。ですので、キックチャージに関しては、『細かいミスをなくしていこう』と気持ちを引き締めることができた(材料となった)。焦りはそんなになかったです」

――序盤、強みのスクラムで反則を犯していた。

福田

「スクラムは僕たちの強みとして戦ってきた。フロントローの選手がずっとレフリーとコミュニケーションを取っていて、2本ペナルティーを取られましたけど、そこを修正してドミネートする場面もあった。修正力、レフリーとのコミュニケーションがよかったと思います」

――後半、自陣で30フェーズ以上も守り続けたシーンがありました。

福田

「対抗戦の早明戦ではフォワードとバックスのギャップを中野君(将伍、相手のインサイドセンター)に簡単に突かれて2本もトライを失っていた。早稲田大学はフォワードとバックスがリンクしてアタックする。それに対し、僕らも組織でディフェンスしようと準備してきた。そのディフェンスが、出せた。リンケージ(繋がり)、ラインスピード(鋭い飛び出し)もあり、ディフェンスで粘れたことが勝因となったと思います」

――逆に、得点した直後に失点を喫していましたが。

福田

「そこは…メイジっぽいと言えばメイジっぽいと思うんですけど、ああいうところは突き詰めていかないと。ファイナルで簡単に取られるようだと厳しいと思うので、悪いメイジっぽさがでないように、リスタートで何をしなきゃいけないかをチームとして明確にできるようにしていけたらと思います」

――今日のテーマ。

田中

「きょうはディフェンスが一番、大事と話していました。オーバーコミットしないということ。タックラーともう1人でファイトして、スペーシング(選手間の幅)を守る、コネクション(連係)を切らさない。それを準備した。それがあの我慢強いディフェンスに繋がった。非常によかったです」

――冬にもっとも成長した点は。

田中

「選手がタフになったと思います。我々は選手権をノーシードから勝ち上がった。厳しいトーナメントを勝ち抜いたことは成長に繋がったと思いますし、強い相手から学んだことを八幡山で消化して成長してきた。相手をリスペクトして、相手から学んだことを自分たちの成長に繋げる。それが一番(成長した点)だったと思います」

――4点リードで迎えたノーサイド直前、早稲田大学の最後の猛攻を耐えしのぎました。

福田

「早稲田大学さんの慶應義塾大学戦(12月22日、試合終了間際に勝ち越し)のビデオを観る限り、終了のホーンが鳴ってからも継続する力がある。ただ早稲田大学さんのアタックをコントロールすることはできない。僕らができることは規律を守ってのディフェンス。タックルした人間がすぐに起き上がって次のディフェンスにいくという、いいディフェンスのための当たり前のことを当たり前にこなすことしか、僕らにはできない。そこで取られたらどうしよう、逆転されたらどうしようということは全く考えず、グラウンドに出ているひとりひとりが責任を全うできたと思います」

田中

「私は選手を送り出したら何もできません。普段の努力には自信を持っていたので、選手を信じて見ていました」

 選手権を前に4年生だけで決起集会をおこなった明治大学。ライバルに攻め込まれても「僕らができることは…」と自分たちの防御システムの遵守に集中できた。今季は仕事量を高めて大学選手権9連覇中の帝京大学に春、夏、秋と3連勝してきたが、いまはパフォーマンスの安定感も身に付けたかもしれない。

 会見中は不明だった決勝の相手は、天理大学となった。帝京大学を29―7で破った関西の雄に、明治大学は春、夏の練習試合で敗れている。最後の最後で、やや苦手なチームと対峙する格好。それでも、「メイジのスタンダードを出せるようないい準備」は怠るまい。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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