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白血病克服のクリスチャン・リアリーファノ、トップリーグに一時断念→挑戦。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ブランビーズの一員として日本のサンウルブズとも試合をしている。(写真:ロイター/アフロ)

 白血病発症のため来日を断念したことのあるクリスチャン・リアリーファノが2018年、日本チームとの契約を実現。豊田自動織機に加わり、今季の国内最高峰トップリーグでサントリーと同組のレッドカンファレンスに入る。

 2007年から11年間、スーパーラグビーのブランビーズに在籍してきたリアリーファノは、身長180センチ、体重95キロの28歳。司令塔のスタンドオフやインサイドセンターに入り、鋭いラン、パス、キックでチームをけん引し、オーストラリア代表としても19キャップ(代表戦出場数)を獲得してきた。

 2016年にはサントリー入りを表明も、病気に伴い合流が叶わず。治療に専念した結果、翌2017年のスーパーラグビーでカムバックを果たしている。

 9月1日、東京・秩父宮ラグビー場での第1節を終えたのちに、来日までの過程について語った。いまの豊田自動織機が、サントリーよりも先にラブコールを送っていたとわかる。

 この午後、スタンドオフとして先発のリアリーファノはノーサイド直前にドロップゴールを決め、NECを9-8で下している。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)

――日本への再チャレンジを決めた背景を教えてください。

「違う文化を持つ国、特に日本のような国でのプレーに意欲的でした。家族ともども、このチャンスをもらえたことを嬉しく思っています。実は豊田自動織機には、2011年頃から声をかけてもらっていました。今回、そのタイミングが合った。たぶん、これが運命だったのです」

――現在トップリーグ2連覇中のサントリーよりも先にアプローチしていたのですね。

「そう。大分、前からです。そして、サントリーのお誘いは当時の私にとってばっちりのタイミングでした。ただ、病気のことがあっていけませんでした。それは残念でした」

――入部を断念した後も、サントリーからのサポートやエールがあった。

「実際、すごくいい対応をしてくれました。病気の間もすごくいいサポートをしてくれたり、グッズをくれたり。最終的には実現しなかったですが、復活したらいつでも戻ってくるようにも言ってくれました。チームの一員であるかのように扱ってくれました。こういうところから、日本に特別な思いを持つようにもなりました。人の優しさ、思いやりが素晴らしい」

――2017年7月21日、地元GIOスタジアムでのスーパーラグビープレーオフ準々決勝で実戦復帰を果たします。この時は、試合にこそ敗れましたが両チームからカムバックを祝福されています。

「遠く離れた日本の人を含め、本当にたくさんの人たちが祝福してくれました。各個人に対して感謝の気持ちを述べることはできないかもしれませんが、常に感謝の気持ちを持ってプレーしています」

 昨季16チーム中12位と低迷したチームにあって、スクラムハーフとともに映像をチェックするなどグラウンド内外で献身。初戦勝利を「プレシーズンにハードワークしてきたごほうびが得られました」と総括している。

 ファンが待ち望むサントリーとの対戦は10月7日、山梨・中銀スタジアムでの第5節で実施される。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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