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驚きの発覚から約2年…。ホセア・サウマキ、いまも日本代表になりたい?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
大東文化大学時代のサウマキ。日本語はなめらか。(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

 ホセア・サウマキは、母国トンガから代表入りを要請されている。しかし、日本代表入りを諦めていない。現在はスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズのメンバーに加わり、事前キャンプで汗を流している。

 トゥポウカレッジを経て2013年に来日したサウマキは、大東文化大学時代から自慢の突破力で日本ラグビー界に鮮烈な印象を残してきた。昨年はキヤノン入りし、日本最高峰のトップリーグで全チーム2位となる10トライをマーク。日本代表の登竜門とも言われるサンウルブズへの招集が叶った。

 もっとも、現状では日本代表入りは叶わない。

 国際統括団体のワールドラグビーが定める規定「一国のシニアの15人制チーム、またはそのすぐ下のシニアの15人制代表チーム、もしくは、シニアの7人制代表チームでプレーしたプレーヤーは、他の協会のシニアの15人制代表チーム、または、そのすぐ下のシニアの15人制代表チーム、もしくは、シニアの7人制代表チームでプレーすることはできない」に抵触するためだ。サウマキは19歳だった2012年10月、7人制トンガ代表としてセブンズワールドシリーズに出場していた。詳細なルールを知らなかったサウマキは、日本代表入りが叶わず残念がった。

 2016年5月には、日本協会がその事実を把握しないまま日本代表候補に選出。日本協会は事態が発覚したのちに「サウマキ選手が2012年にトンガ代表としてセブンズワールドシリーズに出場していたことは認識していますが、日本代表に必要な選手であることに変わりはありません。現在、日本代表でプレーできるかどうかを各所に最終確認しております」というコメントを発表したが、その後の進展はなし。一方、サウマキは2017年6月、トンガ協会から代表入りを要請されていると匂わせていた

 いま、日本代表へはどんな思いを抱いているのだろうか。北九州合宿中だった2月6日、胸中を明かした。

以下、単独取材時の一問一答(編集箇所あり)。

――まずは初めて入ったサンウルブズ。いかがですか。

「頑張っている。楽しいです。オファーが来て、嬉しかったです。いま(2月6日)はまだジェイミー(・ジョセフヘッドコーチ)とは1対1の話はしていませんが、『いいトレーニングをしたら、チャンスがある。頑張って』と言われています。最初はきついフィットネスもあったけど、いまは慣れました。

 他のプレーヤーのスキルはすごい。堀江翔太さん、田中史朗さんのゲームコントロールも。僕の足りない部分は、皆が助けてくれると思います」

――日本代表入りへの思いは。

「まだクリアになっていないですけど、ワールドカップ(2019年日本大会)まで、頑張ります」

――トンガ代表からのオファーもあるようですが。

「これからスーパーラグビーに出たら、もっと来るかもしれない。でも、まだわからない。できればサンウルブズで頑張って、チャンスがあれば、日本代表になりたいです。2019年まで、頑張ります。ぎりぎりまで、待っています」

 現行ルール下でサウマキが日本代表に手を挙げるには、「当該国(日本)の国籍取得」「前代表で最後にプレーした時点から3年以上経過」「決められた国際セブンズ大会への出場」をクリアし、申請をワールドラグビーの規定委員会で認めてもらう必要がある。

 母国のトンガ代表としてワールドカップに出場するチャンスがあるなか、サウマキはあえて異国代表入りへのハードルを乗り越えようとしているのだ。

 今年は、在学中から「(入る)チャンスがあるかも」と話していたサンウルブズへようやく加われた。本人はこれを、夢の日本代表入りへのチャンスと捉えている。周囲に求められるは、条件クリアのための尽力か決断を後押しする言葉であろう。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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