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サンウルブズ田邉淳アシスタントコーチ、日本代表強化に「捕る力」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
田邉コーチが成長を認める中鶴(中央)。スピードが長所。(写真:アフロ)

日本代表のスタッフとしても活躍するサンウルブズの田邉淳アシスタントコーチが、5月25日、2日後に迫ったスーパーラグビー第14節への展望を語った。

国際リーグのスーパーラグビーにあって、日本から参戦するサンウルブズはここまで1勝10敗(2度の休息週を消化)。第14節は東京・秩父宮ラグビー場であり、相手は今季2度目の対戦となるチーターズである。

田邉コーチは三洋電機(2011年からパナソニック)で正フルバック、指導者として存在感を示してきた38歳。15歳の時から9年間、ニュージーランドへ留学しているとあって、初年度から加わる多国籍軍のサンウルブズではよきパイプ役でもある。

以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――チーターズ戦に向けて。

「チーターズは同じカンファレンスで4度目の対戦。日本に来るのは慣れていないと思いますし、それまでの間はニュージーランドでタフなツアーをしている。チャンスではないかなと思います」

――5月20日にシンガポールナショナルスタジアムであったシャークス戦(17-38で敗戦)の反省は。

「一番の敗因は規律のところ。前半に7つあったペナルティーのうち5つがセットピース(スクラムなど攻防の起点)からのもの。(サンウルブズの反則を受け、相手は)モールを組んでくると思います。それを減らせるだけ減らす。常に前に出る。相手を背走させる。今週はその準備をしてきたので、遂行してくれれば。いつ蹴って、いつパスを回すか。どの時間帯で蹴って、どの時間帯で回すか。それを詰めてきました」

――防御について。

「キックを蹴った後、システムを遂行する。また、ラグビーにおいてタックルは避けて通れない。アタックで感じている『いける』という感覚を、どれだけディフェンスでも感じていけるか。システムを遂行して、皆を遂行する。そして、ボールを持っている人にタックルするというゴールデンルールを全うする」

――次の試合は中断期間前最後の一戦。勝ちたい思いはより強いですか。

「どの試合も勝ちにいっている。この試合だけで勝利を目指している、というつもりはないです。チーターズ戦もそのひとつ。向こうも必死になって勝利を目指してくるだろうと意識はしています。チーターズは先週、ハリケーンズに7-61で負けている。疲れているだろうとは思うので、そこをポジティブに捉えられればチャンスかな、と思います」

――春先からハイボールキャッチの練習を重ねていますが、成果は。

「ARC(若手中心の日本代表で臨んだアジア・ラグビーチャンピオンシップ)の試合を観たのですが、ハイボールキャッチに関してはサンウルブズの選手はスキルが高い。そこを鍛えられない限り、バックスリーの選手(ウイング、フルバックなど)が代表に選ばれることはないと思います。ワールドカップで対戦する相手が、確実に狙ってくるところなので」

高くボールを蹴り上げて、大きなウイングに再獲得をさせる。ヨーロッパ諸国が多用する陣地獲得術のひとつだ。日本代表に小柄な選手が多いと見られれば、その傾向は強まるだろう。

田邉コーチは全体練習後、自ら大きな衝撃吸収パットを背負って選手たちのハイボールキャッチ練習に付き合う。空中で相手と競り合いながらボールを確保する感覚を養わせるべく、捕球態勢に入った選手へ背負ったパットをぶつける。

その一部始終は、他のスタッフが録画。記録した映像はその場で確認できるので、反復練習を効率化する。

「私の現役時代は、パット、ビデオがなく、ただ捕るということしかできなかった。やって、観て、やって、観てということができるのはうらやましい。走り込みのコース、ボールを捕る位置、手の動きなどが観られる。2月の福岡合宿では1人ひとりビデオを撮って、チェックをしました。スキルは、上がりました。最初は全然捕れなかった中鶴隆彰もかなり捕れるようになったし、江見翔太、松島幸太朗はもともとうまかったけどさらに…」

日本代表候補選手の強化という大義を果たしながら、プロコーチとしてシーズン2勝目を目指す。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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