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スクラム、ルーキー、新首脳は? 明治大学・梶村祐介が語るいま。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
体調が万全なら背番号12はこの人。チャンスメーカーとして期待大。(写真:アフロスポーツ)

1996年度以来の大学日本一を目指している明治大学ラグビー部は今季、丹羽政彦監督体制5年目。報徳学園高校時代に日本代表の練習生となった梶村祐介は、ラストイヤーに挑む。

明治大学では今年度、サントリーで活躍した田中澄憲氏が新ヘッドコーチに、昨季までリコーでプレーしていた滝澤佳之がスクラム担当コーチにそれぞれ就任。東福岡高校出身の箸本龍雅、深谷高校出身の山沢京平ら高校日本代表の新人も数多く入部した。4月9日の東日本大学セブンズ選手権大会で優勝を決めるなど、多くのファンに期待感を持たせている。

梶村は身長180センチ、体重95キロの大型センターで、鋭いフットワークによる突破を持ち味とする。下級生時は早期の代表定着を希求していたが、いまは着実な積み重ねに重きを置いているという。

5月14日、静岡・草薙県営球技場での東海大学戦(関東大学春季大会Aグループ)ではキックオフ早々に負傷交代。35-38での逆転負けを見届けた。もっともこれまでのクラブの足取りには、前向きな印象を抱いているという。

以下、単独取材での一問一答の一部(編集箇所あり)

――古川満新キャプテンが欠場時、ゲームキャプテンを任されてきました。

「去年もほぼほぼゲームキャプテンのようか形だったので、気負うことはなかったです。チームが春からやってきたことがスクラムとコンタクトのところと、少ない。(注目点が限られる分)やりやすさはあるかと思います」

――その意味では、キャプテン就任も期待されていましたが。

「まぁ、そうですね。ただ、今年は絶対にフォワードを強化しないといけない。それで満がキャプテンになった。その形の方がいいのかな、と思います」

――チームのことも伺います。まずはルーキー。いかがですか。

「山沢、森勇登、きょう出ていた箸本と、すごくいい選手が多い。それにあおられて3、4年生もプレッシャーを感じている。いい状態だと思います」

――田中新ヘッドコーチの指導には、どんな印象がありますか。

「あまり選手に声をかけすぎない。必要最低限のことしか仰らないで、僕たちに考える時間をくれる。それが去年までと一番変わった点かな、と思います。決めたことをしようと思っても、試合になれば状況は変わっていく。その状況に合わせ、いい判断ができるようにと言われています。

今年のメイジの目指すもののひとつが『BIG-back in game』。とにかくゲームにすぐ戻る、飛び出る人数を増やす…。ここについては全選手、フィットネスもやっている。しっかりとできているのかな、と思います」

――ポジション柄、直接関係のない領域かもしれませんが、新コーチの指導によってスクラムにもまとまりが出てきたようです。

「まだ形(の確認)しかやっておらず、押す練習はあまりしていないそうで。その段階でここまでできているのなら、今年1年かけてすごいことになるんじゃないのかな…とは思っています(東海大学戦では強烈なプッシュが再三見られた)。滝澤さんが来られてから、8人全員が押す意識が高まったというので、これからもっと深みが出てくると期待したいです」

――今季の個人目標を伺います。代表復帰などへの思いは。

「いや、このままでは…。今年代表に入った尾崎晟也(帝京大学4年)、野口竜司、鹿尾貫太(以上東海大学4年)に比べると、そのレベルに達していない。まずはメイジでしっかりと結果を出したいです」

――いま名前の出た同世代のバックス選手と比べ、どの部分で「達していない」を感じるのでしょうか。

「僕は、去年、あまり成長できなかったと感じていて。自分が(前に)行き過ぎていて、スキルが足りていない、と。今年は監督からも澄憲さんからも、とにかく自分の成長を一番に考えなさいと言っていただいている。それがチームの成長に繋がる、と。週に5回ウェートトレーニングをしているので、フィジカルの強さは勝手についてくる。あとはスキルとディフェンス。ディフェンスについては大分、上がって来たと思っていますが、もう少し。鹿尾(タックラーで鳴らす)と比べて足りていないのは、そこなので」

この日の故障について聞かれれば「下からも選手が出てくる。安心して治療に専念します」と即答。卒業後もトップリーグの強豪クラブへ進み、さらなるレベルアップを目指す。後ろを振り返らず、部是に沿って「前」だけを見る。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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