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日本代表・流大キャプテン、苦戦に動じず。堀江翔太に「さすが」と驚いたわけは?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真中央が流。小気味よい球さばきをアピールする。(写真:アフロ)

現在、アジア・ラグビーチャンピオンシップ(ARC)を戦う若手中心のラグビー日本代表にあって、キャプテンを任されるのは24歳の流大だ。4月22日に韓国・仁川の南洞アジアードスタジアムでおこなわれたARC初戦では、代表デビュー戦にして初の代表キャプテンを務めるという重責を担っていた。

身長165センチ、体重74キロのスクラムハーフ。判断の正確性と防御の背後を裂くキックを持ち味とする。

大学選手権8連覇中の帝京大学では6連覇を果たしたシーズンにキャプテンを任されており、その年度の日本選手権ではトップリーグ勢撃破を成し遂げた。昨季はサントリーで入社2年目ながらキャプテンを任され、国内タイトルを完全制覇(トップリーグ、日本選手権)。ジャパンのジェイミー・ジョセフヘッドコーチにも次世代のリーダー候補として期待されている。

5月6日、東京・秩父宮ラグビー場。

ARC第3戦目では、29―17で勝ったが、格下とされる香港代表に2度リードを許すなど苦しんだ。この日の流はベンチスタートで、後半10分から登場。ゲームキャプテンは、昨秋のツアーでキャプテンだった立川理道に譲った。

ファンをやきもきさせた試合展開とシニア組の存在感をどう見るか。試合後のミックスゾーンで語った。

以下、共同取材時の一問一答(編集箇所あり。質問はすべて当方)。

――きょうの内容をどう捉えますか。

「香港代表がブレイクダウンでファイトしてきていて、元気でした。レフリングを含め、いい展開ではない前半でした(12-10)。ただ、それは試合前から想定していて。80分間をかけて勝ち切ろうという話は、僕の方からもさせてもらっていました。いざ後半、僕が入る時には、得点をしっかりと重ねられるようなテリトリー(陣地)の取り方をして、いざゾーンに入ったらしっかりとトライを取るということを意識してやりました」

――日本代表がうまくいっていないと感じたことは。

「単純なミス、タックルのところで食い込まれたこともあって、セットプレーが安定せず、ちょっとずつ(理想から)ずれていったというところだと思います」

――今週、堀江翔太選手が戻ったことで昨秋の共同キャプテン2名がそろい踏み。どんな影響がありますか。

「安心感が全然、違います。あとはオフフィールドでのコミュニケーションの取り方というか…。ハルさんも鹿尾(貫太、この日代表デビュー)を誘って練習をしたり、堀江さんも若いフロントローの練習後のセッションに付き合ったり…」

この日、堀江が存在感を示したのは、17-17の同点で迎えた後半28分。敵陣ゴール前でダイレクトプレー(スクラムハーフからボールをもらった選手が直進する動き)を重ねた時のことだ。

ふたつめのフェーズで堀江が球を受け、直進。出されたボールを鹿尾が持ち込んだ次は、早くも堀江がパスを待つ場所にいた。堀江は流から球をもらい、余裕を持って空いたスペースを切り裂く。直後のゴール成功もあり、24-17と勝ち越した。

――あの場面。振り返ってください。

「堀江さんがポイントを作って、次に鹿尾が。その次のフェーズには堀江さんはいないだろうな、と思っていたところ…。堀江さんからの『横にいるよ』という声が、ラックから球が出た瞬間にかかっていた。たとえスペースが空いていなくても、堀江さんのフィジカルであればトライを取れるな…ということで、ああいう選択にしました。ボール保持者は(ラックから)出てくるのは一番遅いはずなんですけど、早くに来ていた。さすがだな、と思いました」

――しかも、立ち位置は「横」というより流選手の真後ろ。全体が見える位置でした。

「そうです。後ろに隠れて、香港代表の選手が他の人に目を取られているところで…」

グラウンド内外での年長者の凄みを体感しながら、冷静に舵を切る。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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