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南アフリカのヴィリー・ブリッツはあの日、母国に勝つ日本代表を応援していた!【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
18日の壮行試合で顔にあざを作りながらも、主力組で調整中。

狼の名を持つチームに、ライオンがいる。

ヴィリー・ブリッツ。ウェイビーな金髪を振り乱す28歳が、日本のサンウルブズに加わった。国際リーグであるスーパーラグビーの開幕を2月25日に控え、顔にあざを作りながらも献身を重ねる。

身長193センチ、体重110キロの28歳。身体接触の多いロック、フランカー、ナンバーエイトを務め、密集戦に低い姿勢で突っ込む。球を持てば豊かなスピードでフィールドを駆け上がり、スタンドを沸かせる。 

サンウルブズは日本代表とリンクしている。過去にはライオンズ、チーターズでスーパーラグビーを経験した南アフリカ人のブリッツも、サンウルブズ入りの動機に「日本代表でのプレー」を挙げる。他国の代表経験がないだけに、3年以上の日本居住でその資格を得られる。

2015年に来日してNTTコムでプレーしてきたブリッツは、昨季のスーパーラグビーを母国チーターズで戦っているだけに、資格獲得までの道のりは短くなさそうだ。それでもサンウルブズにとっては、文句なしに欠かせぬ個性だ。

昨季のトップリーグ期間中、NTTコムの一員として単独取材に応じたことがある。

「痛みを感じたとしても、その痛みを力に変えるというマインドセットでやっています」

戦士はこともなげに言った。

以下、一問一答(編集箇所あり)。

――それにしても、そのヘアスタイルはいつから続けているのですか。

「2011年からですね。通っていたディアマンベルト高校は凄く敬虔な厳しい学校でした。ですので、その反発と言いますか…。この髪型でライオンズの試合出たら、『ライオンのような選手が出た』と注目してもらいました。そこから一種のブランドのようになりました。これのおかげで、お母さんも試合会場ですぐに自分を見つけてくれる」

――日本のシーズン、どう過ごしていますか。

「楽しいです。ここでプレーできて光栄に思っています。自分自身のパフォーマンス、チームのパフォーマンスを上げられるようにしたい。そしてできる限り、日本でプレーしたい」

――10月16日、埼玉・熊谷陸上競技場でおこなわれた第7節で、印象的なシーンがありました。後半7分。味方の下敷きになって足を痛めた直後にも関わらず、ビッグタックルを決めます。対するトヨタ自動車のキーマン、ルアーン・スミスをタッチラインの外へ弾き出し、そのまま自分もグラウンドを去りました。

「チームのためにベストを…と取り組んでいます。いい価値を出していけるように。痛みを感じたとしても、その痛みを力に変えるというマインドセットでやっています」

――改めて、サンウルブズでプレーしたい理由を聞かせていただけますか。

「スーパーラグビーでプレーをし続ける自分にとってのチャンス。また、日本代表で活躍したい思いもある。サンウルブズをそのはじめに…と考えています」

――いつごろから。

「サンウルブズに関しては去年(2015年)の終わりくらいから、日本代表でプレーを…と考えたのは、最初にここへ来た頃から考えています」

――来日の目的が、日本代表入りだったのですね。

「小さい時は南アフリカ代表が目的でしたが、新しい目標が必要だと感じました。実際、日本は素晴らしい国だと体感したし、日本代表でプレーできれば名誉なことです」

――日本の好きなところはどこですか。

「好きにならない理由はありますか? 南アフリカと比べたら安全な国で、時間通りに電車が来て、組織化がされている。人もフレンドリー。素晴らしい国です」

――ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ率いるいまの日本代表については、どんな印象をお持ちですか。

「ジョセフがリードしているのは、日本にとって価値がある。素晴らしいコーチです。ハイランダーズのヘッドコーチとしてスーパーラグビー優勝を果たしていますし、体現しているラグビーはニュージーランドに似たもの。日本代表が次のレベルに到達するには、あのスタイルは必要」

2015年9月19日。ワールドカップイングランド大会の日本代表対南アフリカ代表があった。日本代表はブライトンコミュニティースタジアムで34-32と勝利。日本列島は熱狂し、ラグビー強豪国の南アフリカは大きく落胆した。

ブリッツはあのゲームを、日本で観ていたというが…。

――…いかがですか。

「色んな気持ちが溢れていました。チームのコーチ陣や外国人選手たちと観たのですが、正直、どちらかと言えば日本を応援していました。特にナキ(アマナキ・レレイ・マフィ)のラストパスで逆転トライが決まった時は…誰よりも大きな声を張り上げました」

25日の開幕節は東京・秩父宮ラグビー場で13時、キックオフ。相手は前年度王者のハリケーンズだ。狼軍団の下克上の実現には、ライオンのオールアウトが欠かせないだろう。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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