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パナソニックのロビー・ディーンズ監督、豪華戦力を従え描くプラン。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
選手によれば、「皆の意見を聞きつつ、ぶれない」。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

日本最高峰のトップリーグで3連覇中のパナソニックは、今季、豪華陣容で話題を集めている。

堀江翔太キャプテンや田中史朗ら日本代表やスーパーラグビー(国際リーグ)で豊富な経験値を誇る国内組、元オーストラリア代表ベリック・バーンズなどの外国人選手と、主力組の面子は多士済々。さらに今季は、オーストラリア代表のデイヴィッド・ポーコックら大物新外国人、藤田慶和、福岡堅樹ら日本代表経験のある新人選手が参戦するなど、開幕前からファンの関心をさらっている。

常勝集団を目指すクラブは、一体、どんなプランを思い描いているのか。7月9日、ロビー・ディーンズ監督が思いを明かした。

この日は埼玉・熊谷ラグビー場サントリーと練習試合をおこない、33―52で敗戦。もっとも注目の新人に経験値を積ませるなどし、指揮官は「色々なことを試して、色々なことを学ぶ。こうしたプレシーズンの危難に我々がすべきことは、まさにこういうことです」と振り返っていた。

以下、試合後の一問一答の一部(全て当方質問)。

――試合を振り返って。

「いまの時期に、こういったゲームは必要です。きょうのゲームを通し、色々なものを得られました。個人の面では、こういったレベルの高いゲームに初めて出た選手がいました。彼らにとってはその経験ができたことがよかった。チームとしては、今後の全体的なフィジカル、ゲームスピードをもっと上げるのに必要な時間を過ごせた」

――「経験」の例は、やや反則の多かったスクラムでしょうか。相手はフッカーに元ジャパンの青木佑輔選手、右プロップには日本代表の畠山健介選手といった経験者を並べ、パナソニックは左プロップに平野翔平選手、フッカーに坂手淳史選手と新人を並べていました。

「我々が新人選手の試験的な要素を踏まえていたところ、相手はいいスクラムを組んできた。ただ、我々のチームには(フッカーの堀江キャプテンら)経験のある選手も控えている。(8月に)トップリーグが始まるまでには、しっかりと準備しないといけない。

こうしたプレシーズンの時期に我々がすべきことは、まさにこういうことです。色々なことを試して、色々なことを学ぶ、と。ゲームのことにしろ、個人のことにしろ…」

――チームには、日本代表やサンウルブズ(スーパーラグビーの日本チーム)としてプレーする選手が多くいます。彼らのコンディショニングなどについては、どんなプランを考えていますか。

「我々にとって、それは毎年起こる課題になるでしょう。ただ、それはそれで、特に問題視はしていません。1人ひとりに対するアプローチを、変えていく。『この選手は今このレベルだからこういうトレーニングが必要だ』といったことを、別個でやってゆくことが大切です。選手によって試合出場時間が違ったり、リハビリをしていたり。そうした違いに合わせ、微調整をしていきます」

――ファンは、「この巨大戦力でどう戦うのか」と興味を持っています。

「トップリーグは常にレベルアップをしていて、他のチームにもそういう選手がいます。去年はワールドカップ(イングランド大会)、今年はスーパーラグビー(サンウルブズなどのチーム)を通して色んな経験をした選手が、各チームへ加わる。そこへインターナショナルレベルの外国人選手が入ってくる。国内のレベルは上がります。知識の普及もなされるでしょう。そのなかで我々も負けないように、常に自分たちを改善させる必要があります。それが、今季の我々にとってのチャレンジです」

――昨年、日本代表の新ヘッドコーチ候補となっていました。当時、日本協会とコミュニケーションは取られましたか。

「当時、少しそう言った話はありましたが、いまは特に」

――元オーストラリア代表監督として、これからの日本ラグビー界には何が必要かをお話しください。

「もう、すでに必要なことは起こっています。ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチがそのポジション(ナショナルチームの指揮官)に入って、色々なことを考えていると思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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