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スコットランドの観方がわかる、マーク・ハメット日本代表ヘッドコーチ代行会見。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
サンウルブズでも選手の自主性を喚起(写真右)。(写真:Haruhiko Otsuka/アフロ)

スコットランド、さらには海外が日本をどう観ているかが伝わるやりとりがあった。

6月17日、愛知・豊田スタジアムのミックスゾーン。ラグビー日本代表のマーク・ハメットヘッドコーチ代行が、試合会場での前日練習を終えて取材対応。18日のスコットランド代表戦に向け、両国メディアの質疑に応じた。

一般的に、英語圏の記者には果敢な姿勢が目立つ。ハメットヘッドコーチ代行の談話を佐藤秀典通訳が日本語に言い直す途中にも質問が飛んできて、佐藤通訳が「少し待ってください」と英語で制する一幕もあった。

昨秋のワールドカップイングランド大会で強豪の南アフリカ代表などから歴史的な3勝を挙げたジャパンは、2019年には、4年に1度ある同大会を自国でおこなう。対するスコットランド代表は日本代表がイングランドで唯一敗れた相手。日本代表対南アフリカ代表戦の4日後にゲームがあり、スコットランド代表が45―10で勝っている。

ハメットヘッドコーチ代行は今季、国際リーグであるスーパーラグビーのサンウルンブズで指揮を執っている。今回が初来日。

元ニュージーランド代表のフッカーで、2015年にはウェールズのカーディフ・ブルーズで「ディレクター・オブ・ラグビー」を務めたことがある。

以下、ハメットヘッドコーチ代行の一問一答(編集箇所あり。※は当方質問、■が海外メディア)。

――イングランドでの対戦は、「中3日」の影響があったのか。今度は接戦を求めるか(■)。

「あの時も60分までは接戦でした。それは選手たちの記憶には残っている。いまは新しい年。新しいゲームをします」

――リベンジマッチではないのか(■)。

「ジャーナリストらしい言葉ですが、そんな意味はありません。ハハハハ! 自分は、その時には日本にいなかったので」

――ワールドカップ後、どんな立て直しを(■)。

「次のワールドカップに向けた作り直しの段階に入っていると思います。ワールドカップ、スーパーラグビーを通し、ラグビーが日本で盛んになっている」

――先発する松島幸太朗選手、一時練習を抜けていましたがどうですか(※)。

「フィットネステストも合格して、いい感じです」

――フランカーのツイ ヘンドリック、ナンバーエイトのアマナキ・レレイ・マフィは今週から合流。連携面での難しさは。

「彼らは(昨秋の日本代表でプレーしたことのある選手と)慣れている状態。今回はラインアウトの微調整などは必要でしたが(大きな問題はない)」

――ワールドカップで南アフリカを倒したメンバーも出場しますが、勝算は(■)。

「勝てたら、かなり大きいですね。勝算と聞かれてもわかりませんが。もちろん、スコットランド代表が勝つと予想されているでしょう。(今年2~3月の)欧州6か国対抗の試合内容を踏まえて、そう思います。上昇傾向にある。彼らはワールドカップでもジャパンに勝っています。ただ、そこへ立ち向かうのが我々のチャレンジです」

――スクラムハーフは、怪我をした田中史朗選手に代わって茂野海人選手が出場します。

「オークランドでいい経験(昨年はニュージーランド地域代表選手権に出場)を積んだ後にサンウルブズに入った。怖がらずにタックルに入れて、勇敢です」

――カーディフで過ごしたことがあるあなたは、スコットランドについてなじみがあるのでは(■)。

「どういう意味ですか?」

――日本代表の選手よりも、スコットランド代表の特徴をよく知っているのではと(■)。

「それで特にアドバンテージがあるわけではない。ひとつ言えるのは、欧州6か国対抗は観た、ということです」

――スコットランド代表に勝つための道筋、お話しできる範囲で(※)。

「テンポのある試合にすれば、我々にとっていい状態になる。スコットランド代表も、それは承知しているでしょう。接点で(圧力をかけて)スローに働きかけるだろうと思います。また、攻防はセットプレーから始まる。ここでまず、自分たちのボールを確保し、相手のボール確保を妨害する」

――セットプレーの勝算は。

「そこもかなりこだわって取り組んできた。本番になって上手くいって欲しいと願うのではなく、対策はしてきた。互角には戦えると思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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