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サンウルブズ田邉淳コーチ、ストーマーズ戦直後に語った「整理」への後悔とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
熱帯夜に燃えたサンウルブズ。多国籍軍ながら一体感がある。(写真:Haruhiko Otsuka/アフロ)

スーパーラグビーに日本から初参戦するサンウルブズは、5月14日、準ホームの扱いであるシンガポール・ナショナルスタジアムで第12節をおこない、ストーマーズと激突。序盤から主導権を握りながら、17-17の引き分けに終わった。

前節には40失点を喫したサンウルブズは、この夜、守備を大幅に改善。蒸し暑いシンガポールでの試合が初体験だったストーマーズから、多くのミスを引き出した。ラストワンプレーで同点に追いつかれたが、最後の最後までリードを保った。

サンウルブズは21日、オーストラリアはブリスベンのサンコープスタジアムで第13節に挑む。対するレッズでは日本から初挑戦の五郎丸歩が2試合連続での先発出場を目指す。

試合後、日本人で初めてスーパーラグビーのクラブの指導者となった田邉淳アシスタントコーチがミックスゾーンで立ち止まり、取材に応じた。

37歳の田邉コーチは15歳から9年間、単身でニュージーランドへ留学。帰国後は国内最高峰トップリーグの三洋電機(2011年度からパナソニックに名称変更)でフルバックとしてプレーし、2009年度はベストキッカー賞と得点王に輝いた。現役最終年の2013年度からパナソニックのコーチを務め、新たにできたサンウルブズへの入閣に至った。複数の国からメンバーが集まるクラブにあって、持ち前の語学力も活かして戦術略を選手へ伝える。

以下、引き分けに終わったストーマーズ戦後の一問一答の一部(編集箇所あり。※は当方質問)

――いい試合でした。

「きょうの7時55分から100パーセントを出し切る準備をしてくれたな、と。100パーセントを出さないと勝てないし、今回みたいなクロスゲームもできない」

――引き分けに終わったが。

「でも、出来はよかったと思います。内容的には互角」

――7点リードで迎えた終盤、敵陣ゴール前でチャンスを得た際、決まれば3点のペナルティーゴールではなくラインアウトを選択。結果、無得点でした。

「たらればですよね、あそこは。確かにあそこで狙っていたら勝っていたかもしれませんし、逆に南アフリカ代表戦(ラストワンプレーで同点狙いのペナルティーゴールではなくスクラムを選択。逆転勝利を決めた)じゃないですけど、あのままトライを取っていれば…とも考えられる。

…コーチ陣としては、そのあと一歩は何だったのかと考える。最後の詰めの甘さはあるのかもしれないです。その、狙うのか狙わないのかということも、コーチとして事前に整理してあげればよかったかな、と」

――前節と比べ、守備ラインが大幅に整備されたように映ります(※)。

「シンプルです。120キロの選手を98キロの選手が1対1でぶつかっても、止められない。だから2人で行く。まず、勢いを止める。ただ、そのうち2人目は…(手のひらを回し、立ち上がって次の立ち位置に入る仕草をする)」

――接点に入り込み過ぎない、と(※)。

「そうです。入り過ぎない。後は、ラインスピードです。日本人はラインスピードを上げなきゃいけない(体格差に勝る強豪国を止めるには、守備網全体が鋭い出足で飛び出さなければならない)。シーズン序盤から言っていたんですけど、最初はなかなか整備されなくて。でも、きょうは…」

――コンビネーションが取れてきた。

「最初はメンバーにも入っていなかったデレク・カーペンターもそうだし、ジョン・スチュワート(前節にデビュー)もそう。(プレー選択について)皆が同じ画を観られるようになってきた」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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