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ワールドカップ候補メンバーだった日本代表の山中亮平、「2軍説」に反論。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
最後のゲーム出場は、サンウルブズの開幕前壮行試合(2月中旬、写真)。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

ラグビー日本代表が4月30日、神奈川・ニッパツ三ッ沢球技場で今年度最初の試合をする。神奈川・ニッパツ三ッ沢球技場で、韓国代表とのアジアラグビーチャンピオンシップ初戦をおこなう。試合運びを担う山中亮平が取材に応じた。

日本代表は昨秋、ワールドカップイングランド大会で歴史的な3勝を挙げた。しかし、競技人気の沸騰に貢献した当時のメンバーは、今度のジャパンには含まれていない。ジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチは、現在務めるスーパーラグビー(世界最高クラスの国際リーグ)のハイランダーズとの契約上、秋以降の着任となっている。しかも集合は24日と、中竹竜二ヘッドコーチ代行のもと限られた準備期間を強いられている。もっとも山中は「日本代表は、日本代表」。あくまで勝利を希求する決意を明かした。

当日は司令塔のスタンドオフとして先発する山中は、早稲田大学を経て神戸製鋼入りした27歳。身長188センチ、体重95キロとバックスにあっては恵まれた体躯を誇り、ロングパスなど攻撃スキルの高さには定評がある。日本代表として4キャップ(国際間の真剣勝負への出場数)を取得しており、現在は国際リーグのスーパーラグビーに日本から加わるサンウルブズのメンバーにもなっている。

2011年にはワールドカップニュージーランド大会の候補メンバー入りも、使用していたひげの毛生え薬がドーピング違反とされて2年間の資格停止処分を受けたことがある。続く15年のイングランド大会では、8月26日まで候補合宿に参加もメンバー入りは果たせず。19年の日本大会での初出場を目指す。

以下、一問一答の一部(編集済み。質問はすべて当方)。

――久々のテストマッチ(キャップ対象試合)です。

「先発で出るのは2回目。緊張はしますけど、楽しみです」

――サンウルブズでは、なかなか出番がありませんでした。

「なかなか試合に出られなくて…。準備はしているんですけど、メンバーも固定されていてチャンスがないなか、こっちで試合に出られるのは(ありがたい)。こっちでしっかりとアピールして、チャンスがあれば…と思っている。結果を出したい」

――現地時間で4月15日、ブルームフォンティンでのチーターズ戦は17-92と大敗しました。遠征メンバーから外れ、日本でご覧になっていましたね。

「皆、凄く疲れているなというのは、観ていてわかった。本来の試合はできていなくて、動きも悪かった。ああいうのを観ると…。ただ、帰って来てからはしっかりと切り替わっていたし、課題も明確でした。しっかり準備してジャガーズ戦に勝てたのはよかったです(23日、東京・秩父宮ラグビー場。36―28で歴史的初勝利)」

――ハマーことマーク・ハメットヘッドコーチとは。

「(トゥシ)ピシ、(田村)優、ハル(立川理道)、カープス(デレク・カーペンター)と、10番、12番(山中が主戦場とするスタンドオフやインサイドセンター)の数が多いなかで、15番(最後尾のフルバック)には(おもにプレーする選手がリアン・)フィルヨーンしかいない。そこもカバーできるようにとは、田邉(淳アシスタントコーチ)さんにも言われていて。ハマーにも、こっち(日本代表)で機会があったら15番でも…という風に言われていた。今回は10番ですけど、どこのポジションで出てもしっかりアピールできるようにと思っています」

――今回のジャパン入りを知ったのは。

「サンウルブズに合流する2日前です(南アフリカ遠征を終えた17日頃か)。直前ですね」

――それを聞いて思ったことは。

「試合ができるというのは嬉しかったです。ここのところ試合をできていないので、試合勘を取り戻す意味では、ポジティブに考えています」

――日本代表といえば、ワールドカップイングランド大会。どう観ていましたか。

「僕は落ちましたけど、結果が残せて嬉しかったです」

――8月26日、宮崎合宿から離れました。あの時、一緒に落選通知を受けたメンバーが今回のジャパンに多くいます。内田啓介キャプテン、宇佐美和彦選手、村田毅選手…。

「外れたメンバーだけで帰ったのですけど、皆、悔しい感じもありました。慰め合いながら、帰っていました」

――食事も管理された生活から解放され、数か月ぶりに缶ビールを…と伺っています。

「そうですね。毅なんかは、空港でパフェを食べてました! 僕たちはビールを飲みながら」

――大会中、メンバーに故障者が出たら途中参加も…。とは思いませんでしたか。

「思いました。連絡も来たんですよ。(センターの)クレイグ・ウィングが南アフリカ代表戦の直前に怪我をして、メンバー変わったじゃないですか(9月19日の大会初戦。34-32で勝利。本来はウィングが先発予定も、膝の怪我のため回避)。『もしウィングが帰ることになったら…』と言われて、準備はしていました。やりとりを続けたのは、南アフリカ代表戦の前と、後くらいですね。結局、(追加招集は)なかったのですけど、行っていたかもしれない」

――今回のジャパンについて。ワールドカップ組がゼロです。

「うーん…。まぁでも、ワールドカップメンバーがいなくても…。2軍だ、3軍だと言われているんですけど…。日本代表は日本代表なので。そこはしっかりとした戦いをしないと、(周りは)納得しない。アジア勢を圧倒して勝つことを見せられれば、納得してくれるんじゃないですかね。今回はメンバーががらりと変わっていますけど、絶対に負けられない。いい選手が揃っている。年齢的にも僕が上の方。引っ張っていきたい」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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