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サンウルブズに挑戦。トップリーグ選抜・冨岡鉄平監督が「好きな選手」セレクト【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
普段は東芝の監督を務める冨岡ヘッドコーチ。普段は迷彩柄のスニーカーなどを着用。(写真:伊藤真吾/アフロスポーツ)

世界トップクラスのリーグであるスーパーラグビーへ日本から初参戦するサンウルブズは、2月13日、愛知・豊田スタジアムで開幕前最後の壮行試合としてトップリーグオールスター『FOR ALL チャリティーマッチ2016』に挑む。対するトップリーグ選抜では、冨岡鉄平ヘッドコーチが真剣勝負を宣言。4日間の合宿期間中だった11日、複数の記者による取材に応じた。

国内最高峰のトップリーグが2008年度からシーズン終了後におこなっていたオールスター戦は、シーズン終了後とあって真剣勝負の色は薄かった。しかし、サンウルブズを送り出す今度の一戦では、関係者曰く「上位チームの日本人監督」として、15年度の準優勝チームである東芝の冨岡ヘッドコーチが采配を託された。

メンバーも形骸化した「監督推薦選手」ではなく、指揮官自らが各クラブの希望者などから名手を厳選。公式コメント上では、「勝負強い選手」というセレクションポリシーを明かしている。

キャプテンは昨秋のワールドカップイングランド大会で日本代表だったスタンドオフの廣瀬俊朗(東芝)で、ナンバーエイトの菊谷崇(キヤノン)や今季限りで引退するスタンドオフの大西将太郎(豊田自動織機)ら、元日本代表が集った。今季の新人賞を獲得したロックの小瀧尚弘(東芝)、身長177センチとフランカーとしては小柄ながらベストフィフティーン入りした2年目の金正奎(NTTコム)ら、期待の若手選手も並ぶ。この日の午前中も、東京・東芝グラウンドで緊張感のある実戦練習がなされた。

以下、冨岡ヘッドコーチの一問一答(一部のみ)。

――チームの様子は。

「菊谷、将太郎、(トヨタ自動車のスクラムハーフである麻田)一平。この3人がチームをぐいぐい引っ張ってくれている。いいチームですよ」

――合宿初日だった10日は。

「僕らがパワーポイントでプレゼン(資料)を作っていたので、それでアタックとディフェンス(の形)を落とし込んで。自己紹介が終わったら、廣瀬を中心に話をしていきました」

――今季のオールスター戦は、前年度までと趣きが違います。

「この一戦に賭ける意気込みと集中力はこちらの方が上。それは、しょうがないよね。サンウルブズは集まって1週間で、ここがゴールじゃないから。やっていることは基本の部分だけだろうし、難しいとは思うんですよね」

――(当方質問)そして、トップリーグ選抜は勝ちに行きます。

「ゲームに賭ける準備はこっちが上です。今回、こうしてメンバーを集めて思うんですけど…。どれだけ優秀な選手を集めても、こんな数日でチームを完璧に仕上げるなんて無理なんです。だから、このなかでできることを厳選してやっているんです。向こうは、外国人選手も多い。大変でしょうね。難しさはあると思います」

――サンウルブズに示して欲しいものは。

「うーん…。集まって1週間。絶対にチームにはなっていないんですよ。ただ、このあたりで壮行試合を入れておかないと(開幕までの調整が)間に合わなくなる。そうした難しいなかで、何ができるか。重要なのは、責任のある厳しいプレーです。それは我々も観たいし、お客さんも観たいと思います」

――(当方質問)今回のトップリーグ選抜のメンバー選考について伺います。「勝負強い選手」という談話がありましたが。

「僕が好きな選手です。自分が真剣勝負をすると考えた時に、こいつと一緒にやりたいと思える選手しか呼んでいないです。(実際に指導したら)予感的中どころか、1人ひとり、すごくレベルが高い。(全体的に)インターナショナルレベルで見たら(身体は)小さく映るけど、(最近の)ジャパンに入ったメンバーよりもラグビー偏差値の高い選手がたくさんいるんですよね。フィジカルを知恵で補おうとしている選手が集まっているんだから、そりゃ、レベルは高いですよ」

――(当方質問)金選手に加え、身長178センチの布巻峻介選手…。小柄でも存在感あるフランカーが揃います。

「そうそう。(トヨタ自動車のフランカーである安藤)泰洋もそうだし、土佐(誠、NECのナンバーエイト)もそう。全員をジャパンに入れたいし、サンウルブズにも入れたい。そうではない選手は呼んでいないから。彼らがどんなメッセージを残せるのか。(引退を決めた大西ら)それ以外の選手も、自分自身のメッセージをサンウルブズにどう伝えるか…。今回の我々の大義は、メッセージです」

――(当方質問)まだオープンにはできないのでしょうが、東芝からサンウルブズのトレーニングスコッドへ追加招集される選手もいるのでは。

「入ってますよ。きっと。このメンバーからもそうです。これ(13日の試合)を観たら、『こいつを入れたい』と思うはず。今年だけでも5人以上、来年は(トップリーグ選抜対サンウルブズがあれば)15人くらい呼ばれて欲しい。そうなってもおかしくない奴を集めているので」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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