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日本代表エディー・ジョーンズヘッドコーチ、韓国戦後に「なぜ、言わなければ?」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
会見で熱弁をふるうジョーンズHC(写真中央)

4年に1度のワールドカップ(W杯・イングランド)を9月に控えるラグビー日本代表は、5月9日、福岡・レベルファイブスタジアムで韓国代表を66-10で制した。これでアジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)の優勝を決めた。

チームは9月のワールドカップイングランド大会を見据え、試合の2日前までハードな練習を重ねている。

以下、公式会見でのエディー・ジョーンズヘッドコーチの一問一答の一部。

「(日本語で)きょうは、少し良くなった。1パーセント上がって、(100パーセント中)22パーセント。(以下、英語で)選手たちの頑張りには感心しています。コンディションは90パーセントあたりの状態だけど、前半からいいプレー、いい判断をしていました。戦術面で色々と試していますが、この期間をいい形で過ごせた。きょうは若手が頑張っていた。宇佐美(和彦・ロック、ジャパンでは初先発)は80分プレーできましたし。村田(毅・フランカー)にもいいプレーがありました。福岡(堅樹・ウイング、この日今季初先発で3トライ)の復帰も嬉しい。ただ、堅樹と藤田(慶和・ウイング)はもっとディフェンスを学ばなければいけない。唯一、残念だった点はそこです。キャプテン(プロップ畠山健介)も頑張っていました。(後半14分で)交代したことはハッピーじゃないということですが、それもいいことです」

――バリエーション豊富な攻めを披露。W杯に向け、手の内を見せすぎでは。

「そうは思いません。(W杯初戦で戦う世界ランク2位の)南アフリカ代表は、日本対韓国をそこまでは観てこない。いまは色々と試しているところです。バリエーションを試行錯誤しています。そこをW杯に向けて整理して、南アフリカ代表戦、(次の)スコットランド代表戦に向けてゲームプランを作っていきたいです」

――重視していたこと。

「態度です。W杯でも、最初のゲームを100パーセントで戦えてもその次はそうとは限らない。100パーセントじゃない時でも戦わなければいけないと、選手たちには言いました。今日の試合、コンディション的には過去3年で最低だと思います。疲労度は最高。後半10分ぐらいに疲れが見えてきたんですが、リザーブの選手が仕事を全うしてくれました」

――3トライの福岡堅樹について。

「ディフェンスを学ばないといけません。(所属先の)筑波大学でディフェンスの練習をしていないのではないでしょうか。ウイングには80分、プレーしてもらう。きょうよりももっと仕事をして欲しいと望んでいます。素晴らしいスピードの持ち主ですが、グラウンド内での仕事の取り組みが良くないです。ディフェンスをまったくしていない。スタートとしては良かったが、まだまだこれから。ハードワークを重ねたら、W杯でスターになれる。その実力を証明したら、どうぞ新聞の1面に載せてください」

――(当方質問)いま戦列を離れているセンターのクレイグ・ウイング選手、マレ・サウ選手が戻ったら、この日センターとしてプレーしたカーン・ヘスケス選手(本来はウイング)はどのように起用され、藤田、福岡両選手はどうなるのか。そのあたりのことで、お話いただけることを聞かせてください。

「言えません。なぜ、言わなくてはいけないのですか? 本当に。セレクションのことです。いいパフォーマンスをした選手が選ばれます。外国人だろうが日本人だろうが、代表選手だと思って観ています。私の仕事は強いチームを作ることです。大学生でディフェンスを理解していない人がいたら、教えなきゃいけない。それは、やります。ただ、その選手がW杯への準備が出来ていないとしたら…。W杯で戦う準備ができている選手を選ぶだけです」

――(当方)ありがとうございます。

「きょう、外国人選手の話でいいことを言うのであれば、そういう選手が3人、先発しています。コリ(ホラニ龍コリニアシ・ナンバーエイト、日本国籍取得済み)。彼は日本人でしょうか、外国人でしょうか。母国のトンガより日本での生活の方が長い。ジャスティン(アイブス、フランカー)、ヘスケス、彼らが出て、この試合はよくなった。私の願いは、この先2、3年で、韓国代表戦をBチーム(2軍)で挑めるようにする。それも、50点、差をつける。ここに向かって頑張らなければいけない」

――ヘスケスのパフォーマンスは。

「まぁまぁ。いまは相手が相手なので、本当の評価は難しい。韓国がスーパーラグビー(南半球最高峰リーグ)に出たら何試合、勝てるでしょうか。今季、スーパーラグビーのレッズは1勝しかしていません。ただ、選手のトータルのキャップ(国同士の真剣勝負への出場数)は350です。我々がベストチームになったとして、ティア1(強豪国)との対戦によるキャップ数は50程度。これが現状です。我々は非常にゆっくりなペースで積み重ねています。この3年でよかったのは、ウェールズ、ニュージーランド、イタリアと戦えたこと。そこで50パーセントの勝率でした。才能を育成しながら、ハイレベルなゲームの機会を与えたい。素晴らしい才能はあふれている。例えば堅樹。チーターとレースができる。次の香港代表戦(5月23日、香港)の前にやるべきです。多分、堅樹が勝てます。そういった選手をしっかりと育成できれば…。カーンですが、我々のチームで240分プレーしています。ただ、サニックスでは昨季、(トータルで)100分ぐらいです。彼はいまのところに来るまで頑張った。選手としての規律も良くなった。いまはラグビーに対し、ひたむきに頑張っている。W杯に出られるかはわかりません」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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