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シメオネ・アトレティコと2つの顔。「イタリア的」な敗戦と強者に打ち勝つ術。

森田泰史スポーツライター
競り合うグリーズマンとバストーニ(写真:ロイター/アフロ)

期待と落胆の入り混じった声が、スタジアムに響き渡る。

そして、そのサポーターの心情は理解できる。今季のシメオネ・アトレティコを見ていて、率直に思うのだ。もっとできるのではないか、ということを。

■イタリア的な敗戦

チャンピオンズリーグ・ラウンド16のファーストレグのインテル戦では、敵地サン・シーロで敗れた。0−1というスコアで、非常に「イタリア的」な敗戦。アトレティコ・マドリーとしては悔しい黒星になった。

一方、今季のラ・リーガで、首位を走るレアル・マドリーを最も苦しめてきたのはアトレティコだ。これも揺るがない事実である。実際、シーズン前半戦・後半戦共にマドリード・ダービーはドローに終わっている。コパ・デル・レイでは、ラウンド16でアトレティコがマドリーを敗退に追い込んだ。

アトレティコのシメオネ監督
アトレティコのシメオネ監督写真:ロイター/アフロ

まるで「ジキルとハイド」だ。シメオネ・アトレティコを見ていると、そう感じてしまう。とはいえ、観察し甲斐のあるチームではある。

なので、まずはアトレティコの「好調ぶり」に焦点を当てたい。

■好調時のアトレティコ

今季、アトレティコが好調を維持できている要因のひとつに、アルバロ・モラタの好パフォーマンスが挙げられるだろう。

モラタは今季公式戦34試合出場で19得点をマークしている。

モラタには、この夏、移籍の噂があった。ローマをはじめ、イタリア方面から熱視線が注がれていた。だがプレシーズンが行われた韓国で、モラタとディエゴ・シメオネ監督が話し合いの場を持った。そこで指揮官からは「18ゴール」を要求されたという。

すでに、シメオネ監督から求められた数字を、超えている。それだけではなく、レアル・マドリー(2016―17シーズン)、ユヴェントス(2020―21シーズン)で記録したキャリアハイの20得点に、あと1ゴールまで迫っている。

好調のモラタ
好調のモラタ写真:ロイター/アフロ

「モラタはすべての面で成長した。ゴールだけじゃない。彼にとって、大きな成長があった。そして、それをチームに還元してくれている」とはシメオネ監督の弁だ。

モラタとグリーズマンのコンビ
モラタとグリーズマンのコンビ写真:ロイター/アフロ

また、モラタの活躍を語る上で、欠かせない存在がいる。アントワーヌ・グリーズマンだ。

良いパサーがいるから、フィニッシャーが生きる。このフットボールの原理・原則を、モラタとグリーズマンは体現している。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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