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変化した「アンカー」の概念。ブスケッツの退団に想う、美しい引き際。

森田泰史スポーツライター
退団を決断したブスケッツ(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

またひとり、レジェンド級の選手がピッチを去る。

セルヒオ・ブスケッツが、今季限りでのバルセロナ退団を表明した。トップチームで15シーズン、プレーした後、新たな挑戦へ向かう決断を下している。

ブスケッツの退団イベント
ブスケッツの退団イベント写真:ロイター/アフロ

「もし私が現役の選手だったら、ブスケッツのような選手になりたい」

これはビセンテ・デル・ボスケ(当時スペイン代表監督)の言葉だ。2010年の南アフリカ・ワールドカップ、スペインはグループステージの初戦でスイスに敗れた。その試合後、デル・ボスケがそのように語っていた。

■黄金時代の幕開けと共に

ブスケッツをバルセロナでトップデビューさせたのは、現在マンチェスター・シティで指揮を執るジョゼップ・グアルディオラ監督である。

以降、バルセロナの黄金時代が幕を開けた。リオネル・メッシ、シャビ・エルナンデス、アンドレアス・イニエスタが躍動していた。だがそのチームの「コア」の部分を担っていたのはブスケッツだった。

ファンの応援に応えるブスケッツ
ファンの応援に応えるブスケッツ写真:なかしまだいすけ/アフロ

「あのポジションでプレーする選手には、スピードが必要だ。と言っても、足の速さではない。思考のスピードだ」と語るのはヨハン・クライフの“ドリームチーム”でアンカーを務めたルイス・ミージャだ。

「レスポンスを早くする。プレーの流れを読んで、ボールをできる限り前進させる。クライフがバルセロナに来てから、あのポジションの重要性は上がった。専門性の強いポジションになった。そして、その特徴をブスケッツは備えていた」

「ブスケッツはあのポジションで最高の選手になった。グアルディオラ以上の選手になったと言えるかもしれない。グアルディオラもまた、素晴らしい選手だったんだ」

■隠れたダウンスリーの発明

2008―09シーズン、グアルディオラ監督の就任、ブスケッツの抜擢があり、バルセロナのフットボールは変化した。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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