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なぜバルサはリーガ制覇に近づいているのか?ガビ、バルデ、ジャマル…カンテラーノの台頭と大型補強の成果

森田泰史スポーツライター
優勝を目前としているバルサ(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

タイトル獲得に、大きく近づいている。

現在、リーガエスパニョーラで首位を走っているのがバルセロナだ。リーガ第32節で、バルセロナはベティスに4−0と勝利した。2位レアル・マドリーに勝ち点11差をつけ、順位表のトップを維持している。

■夏の大型補強

バルセロナは今夏、大型補強を敢行した。ロベルト・レヴァンドフスキ、ラフィーニャ、ジュール・クンデ、アンドレアス・クリステンセン、フランク・ケシエ、マルコス・アロンソ…。1億5800万ユーロ(約221億円)を補強に投じて、戦力アップを図った。

その成果は現れた。

クンデとクリステンセンは最終ラインでレギュラーに定着した。今季のリーガで、バルセロナはここまで32試合で11失点。2番目のアトレティコ(25失点)を大きく引き離して、リーガでトップの数字を記録している。

ラフィーニャはウィングで定位置を確保した。ウスマン・デンベレとの激しいポジション争いに身を投じながら、公式戦44試合で10得点11アシストをマーク。アシスト数においては、ネイマールがバルセロナに移籍したファーストシーズンのものにすでに並んでいる。

バルサに移籍したレヴァンドフスキ
バルサに移籍したレヴァンドフスキ写真:ムツ・カワモリ/アフロ

そして、レヴァンドフスキだ。

レヴァンドフスキは移籍金4000万ユーロ(約56億円)でバイエルン・ミュンヘンからバルセロナに移籍。当時33歳のストライカーの獲得に大金がはたかれ、懐疑的な目を向けられてもいた。

だがレヴァンドフスキは瞬く間にフィットした。公式戦40試合で29得点をマーク。リーガでは28試合で19得点を挙げており、現在、カリム・ベンゼマと得点王の座を争っている。

■ジャマルのデビューとカンテラ

また、今季のバルセロナはカンテラーノ(下部組織出身選手)が躍動している。

先日のベティス戦では、ラミン・ジャマルがトップデビューを飾った。ジャマルは15歳9ヶ月16日でデビューを果たして、ビセンク・マルティネス(16歳9ヶ月5日)を抜いてクラブ史上最年少記録を更新した。

ジャマルだけではない。アンヘル・アラルコン、アレイクス・ガリード、チャディ・リャド、マルク・カサード、イニャキ・ペーニャ、ミカ・マルモル、エスタニス・ペドロラ、アルバロ・サンス、フェラン・ジュグラ(現クルブ・ブルッヘ)、イリアス・アコマックらがシャビ・エルナンデス監督の下でトップデビューを飾った。

ガビやアレッハンドロ・バルデはすでに主力として活躍している。バルセロナのカンテラーノが、台頭してきている。

ベティス戦でデビューしたジャマル
ベティス戦でデビューしたジャマル写真:ロイター/アフロ

「ジャマルには、周囲とコンビネーションをするように言った。そしてチャンレンジをしろ、とね。彼はそれをやってくれた。特別な選手だ。ゴールやアシストができて、何より大胆にプレーできる」とはシャビ監督の言葉だ。

「アンス・ファティや(リオネル・)メッシに似ているか? そうだね。彼らに共通しているのは、ファイナルサードのところで非凡の才を持っていることだ。それを見つけるのは難しい。ジャマルは15歳の選手には見えない。もっと成熟している。このチームで、このクラブで、一時代を築く選手になるかもしれない」

得点を喜ぶバルサの選手たち
得点を喜ぶバルサの選手たち写真:ロイター/アフロ

無論、バルセロナに課題がないわけではない。財政、サラリーキャップ、解決すべき問題はある。

だがバルセロナにとって、これは2018−19シーズン以来のリーガ制覇になる。その意味は小さくない。アイロン(優勝の喜び)への道が、開かれている。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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