Yahoo!ニュース

バルサは強さを取り戻したのか?ガビ、ペドリを擁する“中盤主義”にメッシとネイマールの3トップの記憶

森田泰史スポーツライター
得点を喜ぶペドリ(写真:ロイター/アフロ)

勝利が、必要だった。

現在、リーガエスパニョーラで首位を走っているのがバルセロナだ。シーズン前半戦を終え、勝ち点50を獲得。タイトル獲得に向け、邁進している。

■中盤とトリデンテ

バルセロナは年が明けて大きな問題に対峙することになった。リーガ第14節オサスナ戦でレッドカードを受けたロベルト・レヴァンドフスキに3試合の出場停止処分が科され、シャビ・エルナンデス監督はレヴァンドフスキ不在の中で試合に臨まなければいけなくなった。

シャビ監督は「4人の中盤」をピッチに送り込んだ。ガビ、ペドリ・ゴンサレス、フレンキー・デ・ヨング、セルヒオ・ブスケッツがスタメンに名を連ねた。

ペドリのゴールでジローナに勝利
ペドリのゴールでジローナに勝利写真:ロイター/アフロ

セントロカンピスモ(中盤主義)はバルセロナの哲学と深く紐付いている。

2011年冬に行われたクラブ・ワールドカップで、バルセロナは決勝でサントスを破り優勝を飾った。ジョゼップ・グアルディオラ監督はファイナルで【3−7−0】のシステムを使い、試合後に「可能であれば11人のMFを置きたい」と発言した。

バルセロナの黄金時代、ヨハン・クライフ監督が率いた“エル・ドリームチーム”で、中盤の底を務めていたのが、他ならぬグアルディオラだった。

グアルディオラはバルセロナのトップチームで指揮を執るようになり、中盤の選手を重宝した。シャビ、ブスケッツ、アンドレス・イニエスタ、セスク・ファブレガス、チアゴ・アルカンタラ…。そこにファルソ・ヌエベ(ゼロトップ)のリオネル・メッシが加わり、ミドルゾーンの協奏曲は完成の域に近づいていた。

■MSNという3トップの存在

一方、バルセロナが最後にチャンピオンズリーグで優勝した2014−15シーズン、その中心には“MSN”と呼ばれる3トップがいた。

メッシ、ルイス・スアレス、ネイマール。ピッチ内外で素晴らしい関係を築いていたドリデンテ(三叉の矛)が、欧州とスペインの猛者たちの脅威になった。

ネイマール、メッシ、スアレス
ネイマール、メッシ、スアレス写真:ロイター/アフロ

シャビ監督は今季序盤戦で新たなトリデンテを重用していた。レヴァンドフスキ、ラフィーニャ、ウスマン・デンベレが前線を形成。ペドリ、ガビ、デ・ヨング、ブスケッツのいずれかがスタメンから外れるというのが常だった。

だが、レヴァンドフスキの欠場があり、変化が訪れた。シャビ監督はガビを左WGに据え、【4−3−3】を維持しながら4人の中盤の選手を据えた。

「試合によって、検証する。我々には、いくつかオプションがある。重要なのは、バルサと対戦する相手にどのように攻撃するかを分からせないことだ。私にとっては、どちらも有効な手段だ」

4人の中盤と3トップについて聞かされた際、シャビ監督はこのように返答している。

戦況を見守るシャビ監督
戦況を見守るシャビ監督写真:なかしまだいすけ/アフロ

バルセロナはレヴァンドフスキの出場停止が明け、復帰する。他方で、先のジローナ戦でデンベレが負傷して、数週間離脱する見込みだ。

エースの離脱があったが、禍転じて福となす、という言葉がある。セントロカンピスモへの回帰――。それがバルセロナに好循環をもたらしている。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

誰かに話したくなるサッカー戦術分析

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

リーガエスパニョーラは「戦術の宝庫」。ここだけ押さえておけば、大丈夫だと言えるほどに。戦術はサッカーにおいて一要素に過ぎないかもしれませんが、選手交代をきっかけに試合が大きく動くことや、監督の采配で劣勢だったチームが逆転することもあります。なぜそうなったのか。そのファクターを分析し、解説するというのが基本コンセプト。これを知れば、日本代表や応援しているチームのサッカー観戦が、100倍楽しくなります。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

森田泰史の最近の記事