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ブラジルはネイマールと世界の頂に立てるのか?ヴィニシウス、アントニー…新世代の突き上げと融合の可能性

森田泰史スポーツライター
ブラジル代表のエースであるネイマール(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

6度目の世界王者を目指す戦いが、始まる。

カタール・ワールドカップで優勝候補と目されるチームの一つがブラジル代表だ。セルビア、カメルーン、スイスと同組のグループGで、まずは首位通過をめぐるバトルに挑む。

得点を喜ぶネイマール
得点を喜ぶネイマール写真:ロイター/アフロ

カナリア軍団(ブラジル代表の愛称)の中心選手は、ネイマール・ジュニオールである。

今回はネイマールにとって3回目のW杯になる。母国開催となった2014年W杯では、準々決勝のコロンビア戦で重傷を負った。ネイマールを欠いたブラジルは準決勝で1−7とドイツに敗戦。フットボール史上に残るショッキングな大敗を喫した。雪辱を誓った2018年W杯ではネイマールが対戦相手の厳しいマークにあい、準々決勝でベルギーに敗れた。

2016年夏にブラジル代表指揮官に就任したチッチ監督は、ネイマールを中心にチーム作りを行なってきた。

一方、それは「ネイマール依存症」との戦いでもあった。勝てばエースが持て囃され、負ければネイマールに頼り過ぎだと言われる。ネイマールという選手は、決して守備が得意な選手ではない。彼を擁しながら攻守のバランスを整えつつ、また背番号10と息の合うパートナーを探す仕事が残っていた。

■若い選手の台頭

そのブラジルの26名の招集リストを見ると、若い選手たちがズラリと並んでいる。

この夏、リーズからバルセロナに移籍したハフィーニャ、アヤックスからマンチェスター・ユナイテッドに移籍したアントニーに加え、ヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリー)、ロドリゴ・ゴエス(レアル・マドリー)、ガブリエル・マルティネッリ(アーセナル)とビッグクラブで頭角を現してきている選手たちがチッチ監督に呼ばれている。

「2019年のコパ・アメリカの段階では、アントニーやハフィーニャはいなかった。ヴィニシウスはレアル・マドリーで適応に苦しんでいた。マルティネッリに関しては、ほとんど代表に呼ばれていなかった」とはチッチ監督の弁だ。

「現在、その世代が本当に突き上げてきている。彼らの成長が、攻撃的な精神性を備える5選手を抱えながら戦うことを可能にしている」

成長著しいヴィニシウス
成長著しいヴィニシウス写真:ロイター/アフロ

ヤング感が溢れるアタッカー陣を備える一方で、中盤から最終ラインにかけては経験豊富な選手がいる。4回目のW杯出場となるチアゴ・シウバ、39歳のダニ・アウベス、アンカーのカゼミロ、GKアリソン・ベッカーらが後方から構える。

ベテランのダニ・アウベス
ベテランのダニ・アウベス写真:ロイター/アフロ

ブラジルが最後にW杯で優勝したのは、2002年の日韓大会だ。

ロナウド、リバウド、若きロナウジーニョを擁したカナリア軍団は、決勝でドイツを下して、世界の頂点に立った。他方で、ジウべウト・シウバ、エジミウソン、ルシオらがチームを支えていた。

2002年のW杯で優勝したブラジル
2002年のW杯で優勝したブラジル写真:ロイター/アフロ

「最後のワールドカップだと思って臨む。明日のことは分からないと、いつも父親と話している。次のワールドカップに出ることは確約できない。本当に、それは分からない。出るかもしれないし、出ないかもしれない。監督交代の可能性もある。新しい監督と合うかどうかも分からない」

「いま、その話はしたくない。今大会に集中したい。上位進出を果たすポテンシャルはある。僕たちを信じていない人たちも、いるかもしれない。だけど、それは違うと証明したい」

これはネイマールの言葉だ。

ブラジルは南米予選を首位で通過した。17試合を14勝3分けと無敗で切り抜け、カタールに乗り込んでいる。

その目線はジュール・リメ杯に向いている。それを手中に収めるべく、カナリア軍団が一致団結する。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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