Yahoo!ニュース

現代型サイドバックの考察。カンセロ、アラバ、セルジ...必要とされる「中盤的」要素。

森田泰史スポーツライター
競り合うデイヴィースとセルジ(写真:ロイター/アフロ)

サイドバックに与えられるタスクは、時代と共に変化してきた。

スペインには、かつて、マヌエル・パブロというサイドバックの選手がいた。1998年から2016年までデポルティボ・ラ・コルーニャでプレーした元スペイン代表の選手で、「スーペル・デポル」と称されたデポルティボの黄金時代を支えたプレーヤーでもある。

マヌエル・パブロを一言で形容するなら「実行者」である。監督に言われたことを、ひたすら実行する。余計なプレーはしない。チームのため、味方のために汗をかく。そういったところが高く評価されていた。

デポルティボで活躍したマヌエル・パブロ
デポルティボで活躍したマヌエル・パブロ写真:ロイター/アフロ

だが時代は変わった。

そこに手を加えたのはペップ・グアルディオラ監督だと言えるだろう。現在、マンチェスター・シティではジョアン・カンセロやカイル・ウォーカーが重宝されている。バイエルン・ミュンヘン時代には、フィリップ・ラームが貴重な戦力になっていた。

ペップ・バイエルンの偽サイドバック@Coachvoice
ペップ・バイエルンの偽サイドバック@Coachvoice

以前、サイドバックはサイドを駆け上がり、サイドアタッカーをサポートするのが攻撃時の主な仕事だった

しかし、現代フットボールにおいて、サイドバックの役割は多岐にわたる。内側に入ってのインサイドサポート、インナーラップ、そういった動きが求められてきているのだ。

■サイドバックの役割

攻撃の際、【2−3−5】のシステムを形成する。4バックのサイドバックは中盤に押し上げられ、ボランチと協働して球出しを行う。

シティの【2−3−5】@Coachvoice
シティの【2−3−5】@Coachvoice

サイドバックを中盤に上げるのは、ミドルゾーンで数的優位を作るためだ。ボランチの選手の両脇にサイドバックがいることで、ショートパスでの連携が容易になる。

この時、サイドバックには、確かな技術と卓越した戦術眼が要求される。的確なポジショニングで、正しいアングルを取り、正確なパスを供給しなければいけない。そうでなければ、チームはボールを前進させていけない。

■必要とされる中盤的な要素

ここで、現代型のサイドバックとして、注目したい選手が2人いる。セルジ・ロベルト(バルセロナ)とジョシュア・キミッヒ(バイエルン)だ。

この記事は有料です。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバーをお申し込みください。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

森田泰史の最近の記事