Yahoo!ニュース

なぜバルサは“好調”なのか?レヴァンドフスキ、デンベレ、ラフィーニャ…強力3トップと「MSN」の記憶

森田泰史スポーツライター
ゴールを量産するレヴァンドフスキ(写真:ロイター/アフロ)

希望の光が、再び灯っている。

リーガエスパニョーラが開幕して、好調を維持しているのがバルセロナだ。開幕節ラージョ・バジェカーノ戦で引き分けたが、そこから4連勝を飾り、首位レアル・マドリーを追走している。

■補強の成果

バルセロナは今夏、大型補強を行った。1億5300万ユーロ(約214億円)を補強に投じて、戦力アップを図った。

シャビ・エルナンデス監督が、アタッカーとして欲したのは、ロベルト・レヴァンドフスキとラフィーニャだった。移籍金4500万ユーロでレヴァンドフスキを、移籍金5800万ユーロでラフィーニャを獲得した。

レヴァンドフスキ、ラフィーニャ、そしてウスマン・デンベレが現時点でのシャビ監督の3トップのファーストチョイスだろう。アンス・ファティが「ジョーカー」として控え、欧州でもトップクラスの攻撃の陣容が揃った。

開幕戦でラージョに引き分けたバルセロナ
開幕戦でラージョに引き分けたバルセロナ写真:なかしまだいすけ/アフロ

「もちろん、バルサというチームで、加入したらゴールを決めないといけない。当初、プレシーズンの段階では、2試合ノーゴールが続いて、彼の獲得を批判する人が出てきていた。だけど、それから数試合でプレーして、もうそのことを覚えている人はいないだろう。レヴァンドフスキはスペクタクルなストライカーだ」とはチームメートであるエリック・ガルシアのコメントだ。

「レヴァンドフスキは、いとも簡単にゴールを決めてしまう。それだけじゃない。ヒールパスでペドリ(・ゴンサレス)にアシストしたり…。僕は、ベンチから見ていて、あのプレーを想像できなかった。でも、彼には見えていたんだ。ボールに触れば、ゴールになる。その効果性というのは、ルイス・スアレスと比較できるかも知れないね」

「MSN」時代のバルセロナ
「MSN」時代のバルセロナ写真:なかしまだいすけ/アフロ

バルセロナが最後にチャンピオンズリーグで優勝したのは2014−15シーズンだ。その時、攻撃を牽引したのがリオネル・メッシ、スアレス、ネイマールの「MSN」である。

メッシ、スアレス、ネイマールは2014年から2017年にかけて、バルセロナで共にプレーした。ピッチ内外で良い関係を築き、その化学反応による破壊力はスペインと欧州中で脅威になっていた。

「MSN」はバルセロナの3シーズンで、公式戦363得点を記録した。ビッグイヤー獲得を含め、幾度となく歓喜をバルセロニスタに届けた。

■バルセロナの攻撃力

今季のバルセロナは圧倒的な攻撃力を誇る。レヴァンドフスキ(公式戦6試合9得点2アシスト)、ラフィーニャ(5試合1得点1アシスト)、デンベレ(6試合2得点4アシスト)の3選手がゴールに絡む。それはメッシ、スアレス、ネイマールを彷彿させる。

ただ、「MSN」のバルセロナは、破壊力のある前線とは裏腹に、攻撃と守備が分断されるところがあった。そのような状況で、ピッチ上での力を失っていたのが、現役時代のシャビだった。ルイス・エンリケ監督はハードワークができるイバン・ラキティッチを重宝するようになり、シャビのプレータイムが減っていった。そのシャビが、現在、チームを率いているのは数奇な運命である。

ゴールを喜ぶレヴァンドフスキとデンベレ
ゴールを喜ぶレヴァンドフスキとデンベレ写真:ロイター/アフロ

とはいえ、メッシ、スアレス、ネイマールを彷彿させる攻撃陣を擁するという理由で、バルセロナがチャンピオンズリーグ優勝の有力候補になるという話ではない。

ビッグイヤー獲得に向け、バルセロナはグループステージでバイエルン・ミュンヘン、インテル、ヴィクトリア・プルゼニと同組になった。「グループ突破を第一に考える。その後のことは、様子を見よう」とはシャビ監督の言葉だ。

「夢を見るのは、無料だ。無論、勝利を目指して戦う。だが我々が優勝候補だという話はしたくない。希望を削がずに、しかし謙虚で慎重にならなければいけない」

選手に指示を送るシャビ監督
選手に指示を送るシャビ監督写真:ムツ・カワモリ/アフロ

バルセロナはチャンピオンズリーグ・グループステージ第2節でバイエルンと対戦する。まずは、この試合が試金石になる。

ラ・リーガでは、アウェー戦、17試合無敗だ。体勢は整った。シャビのバルサが、ビッグマッチに挑む。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

誰かに話したくなるサッカー戦術分析

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

リーガエスパニョーラは「戦術の宝庫」。ここだけ押さえておけば、大丈夫だと言えるほどに。戦術はサッカーにおいて一要素に過ぎないかもしれませんが、選手交代をきっかけに試合が大きく動くことや、監督の采配で劣勢だったチームが逆転することもあります。なぜそうなったのか。そのファクターを分析し、解説するというのが基本コンセプト。これを知れば、日本代表や応援しているチームのサッカー観戦が、100倍楽しくなります。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

森田泰史の最近の記事