Yahoo!ニュース

久保建英とマジョルカの「ハーフスペース」「バイタルエリア」の攻略。イ・ガンインとの共存とジレンマ。

森田泰史スポーツライター
ヘタフェ戦で復帰した久保(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

マジョルカの本拠地ビジット・マジョルカが、沸いた。

リーガエスパニョーラ第15節、マジョルカ対ヘタフェの一戦。67分にジョルディ・ムブラとの交代で久保建英がピッチに立つと、ホームのサポーターから温かい声援が送られた。

今季、リーガ第6節のレアル・マドリー戦で負傷した久保は、しばらく戦列から離れていた。およそ2ヶ月ぶりに公式戦のピッチに戻ってきた久保に対して、マジョルキン(マジョルカの人々)の期待は高まっていた。

レアル・マドリー戦で負傷した久保
レアル・マドリー戦で負傷した久保写真:なかしまだいすけ/アフロ

マジョルカとヘタフェが今季残留争いに身を投じるのは明白だ。だが直近8試合で5分け3敗と調子の上がらないマジョルカに対して、序盤戦で指揮官を交代したヘタフェはキケ・サンチェス・フローレス監督が就任してからチームを立て直している。

■久保のポジション

久保は【4−2−3−1】の2列目の右に入った。

ヘタフェのシステムは【3−5−2】だった。マウロ・アランバッリ、ネマニャ・マクシモビッチ、カルレス・アレニャの3CMFで、この試合に臨んでいた。

サイドに入った久保は、相手の左WBであるオリベラとのマッチアップになった。ヘタフェが3バックだったため、左のセンターハーフと左WBの間のスペース(マジョルカの右のハーフスペース)は空いていた。

ここに久保は度々顔を出していた。だが久しぶりの実戦ということもあり周囲との連携が良くなかった。CBのフランコ・ルッソや右SBのパブロ・マフェオからハーフスペースに位置取る久保への縦パスが入らなかった。

久保とイ・ガンインの関係性にも改善の余地があると感じた。この夏にマジョルカに加入したイ・ガンインは「オレが、オレが」と自分を前面に押し出すプレーをするタイプだ。つまり久保としては、イ・ガンインがファーストアクションをしたところで、セカンドアクションを起こしてボールに絡むというのが理想の形になる。一方で、久保がしばらく戦列を離れている間にある程度イ・ガンインに合わせるチームが出来上がってしまっていて、それが久保にはまだフィットしていないように見えた。

そして、できれば右MFの久保とトップ下のイ・ガンインが自由にポジションを入れ替えながらプレーした方が良いだろう。相手のマークを分散させ、なおかつスペースが生まれるからだ。

■イ・ガンインとの共存

この記事は有料です。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバーをお申し込みください。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

森田泰史の最近の記事