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ジダンの「救世主」となったロドリゴ。レアル・マドリーの未来と始まったばかりの旅路。

森田泰史スポーツライター
ロドリゴとジダン監督(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

彼は、誰なんだ?

2018年6月15日にレアル・マドリーがロドリゴ・ゴエスの獲得を発表した際、大半のマドリディスタがそう思っただろう。2017年11月4日にサントスでトップデビューを果たしたばかりの選手を知っている者は多くなかった。

だが彼はその後マドリーを救う存在になる。

筆者作成
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■救世主

今季のチャンピオンズリーグ・グループステージ第3節、レアル・マドリーはホームにインテルを迎えた。1分け1敗で決勝トーナメント進出に黄信号が灯り始めていた中、インテルに3-2で勝利。その試合で決勝点を挙げたのはロドリゴだった。

だがロドリゴが試合後にロッカールームでチームメートと勝利とゴールの歓喜に浸れることはなかった。コロナ禍でプロトコルを遵守する必要があり、またメディアが彼の言葉を欲しがった。8つのテレビ番組が彼を追いかけていた。ただ、ロドリゴにとってメディア対応はお手の物だ。14歳からエリート教育を受けている選手なのだ。

ロドリゴは10歳で名門サントスに入団。ロビーニョ、ネイマールとブラジルを代表するドリブラーやアタッカーを輩出してきたクラブだ。11歳でナイキと異例の契約を交わして、U-13のチームからU-17のチームに昇格するなかで主将を務めていた。

そして、16歳でプロデビューを飾った。ネイマールがサントスでデビューしたのは17歳の時だった。「ネイマール以上の逸材」と周囲が騒ぐのは避けられなかった。

■数年にわたる追跡

マドリーがロドリゴの追跡をスタートさせたのは2014年頃だ。フニ・カラファト(現国際フットボール部門部長)が彼に注目していた。

すでにマドリーで南米のマーケットをカバーする存在として認められていたカラファトだが、ルーカス・シウバとアブネルの獲得に失敗していた。ロドリゴとヴィニシウス・ジュニオールの獲得は、彼にとっては一種の博打だった。

それでもカラファトはロドリゴに賭けた。父親のエリック・ゴエスは元サッカー選手であり、彼がまだ10代の頃にパートナーのデニセがロドリゴを産んでいる。両親の説得とサントスの関係者との交渉は続けられた。ホルヘ・サンパオリ当時監督はロドリゴの移籍を快く思っていなかった。だが最終的には移籍金4500万ユーロ(約54億円)で決着が着いた。

2018年夏、マドリーはクリスティアーノ・ロナウドの退団とジネディーヌ・ジダン監督の退任で苦しい状況に置かれていた。そこから獲得が決まったヴィニシウスとロドリゴはフロレンティーノ・ペレス会長が言う「未来」に他ならない。そして、その旅路はまだ始まったばかりだ。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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