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ベンゼマ、アザール、ヴィニシウスは「共存可能」なのか?優勝に向け前進するレアル・マドリー。

森田泰史スポーツライター
得点を喜ぶレアル・マドリーの選手たち(写真:ロイター/アフロ)

ポスト・コロナ時代のフットボールが進んでいる。

その中で、好調を維持しているのがレアル・マドリーだ。新型コロナウィルスの影響によりリーガエスパニョーラは第27節終了時点で一時中断していた。首位バルセロナを勝ち点2差で追っていたマドリーだが、中断明けの試合で8連勝を飾り、順位表のトップに躍り出ている。

■予想の難しい布陣

昨季はマドリーにとって難しいシーズンだった。フレン・ロペテギ元監督、サンティアゴ・ソラーリ前監督に指揮を託して戦ったが、無冠に終わった。フロレンティーノ・ペレス会長はジネディーヌ・ジダン監督の電撃復帰を決め、新たなシーズンに向けて再スタートを切った。

第二次ジダン政権において、指揮官の変化は明らかだ。6月27日付のスペイン『マルカ』紙によれば、ジダン監督は203試合で179通りのスターティングメンバーを送り出してきたという。そして今季は【4-3-3】【4-4-2】【4-5-1】【4-2-3-1】と複数のシステムを使い分けながらチーム作りを進めてきた。

特筆すべきは先のマジョルカ戦だろう。この試合で、ジダン監督は【4-2-3-1】を選択してカリム・ベンゼマ、エデン・アザール、ヴィニシウス・ジュニオールを初めて同時先発させたのだ。

■攻撃の核

今季リーガで18得点をマークしているベンゼマは、クリスティアーノ・ロナウドがユヴェントスに移籍して以降、まさにマドリーの得点源となっている。

そして、昨夏移籍金1億ユーロ(約120億円)で加入したアザールは、加入一年目とは思えないほどにベンゼマと息の合ったコンビネーションを見せている。ピッチ上におけるベンゼマとアザールの化学反応は戦術でコンセプトを落とし込めるものを超越しているところがある。今季4度負傷離脱を強いられているアザールのコンディションが整うかはチャンピオンズリーグを含めタイトル争いの鍵を握る。

そこにヴィニシウスが加わる。ドリブルと突破力が武器であるヴィニシウスは、19歳という若さもあり中断明けの試合で非常にキレのある動きで相手DF陣を翻弄している。それだけではなく、課題とされてきたフィニッシュの精度に改善の兆しがある。

ベンゼマ、アザール、ヴィニシウスの共存が可能になった現在、マドリーの競争力は上がっている。さらにマルコ・アセンシオ、ロドリゴ・ゴエス、ガレス・ベイルといった選手たちが虎視眈々とチャンスをうかがっている。

リーガ再開決定直後、「レアル・マドリーが11連勝で優勝する!」という楽観的な見出しがスペインメディアに踊っていた。11連勝は困難なミッションだが、8連勝で残り3試合まで来た。3年ぶりのリーガのタイトルが、いま、射程距離にある。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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