ジダンの「パズル」は完成するのか?レアル・マドリーの戦力充実と抱える問題。
新型コロナウィルスの影響でリーガエスパニョーラが一時中断するまで、レアル・マドリーは2位につけ、首位バルセロナを射程圏内に捉えていた。クラシコで勝利したものの、ベティス戦でまさかの敗戦。それでも、2016-17シーズン以来のリーガ制覇に向け、その道のりは概ね順調だった。
ただ、来たるシーズンに向けては問題が残されている。ジネディーヌ・ジダン監督が構想に含められるのは37名だ。だがトップチームの枠は25名で、12名が「余剰戦力」となってしまう。
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なにより、現在、レンタル放出中の13名の処遇を決めなければいけない。アクラフ・ハキミ、マルティン・ウーデゴールにおいては復帰の可能性が濃厚とされているが、ダニ・セバジョスやオスカル・ロドリゲスをはじめとして、去就が不透明となっている選手も少なくない。
■中盤と戦術の解決策
中盤の人数超過については、戦術的な解決策が考えられる。現在、マドリーにはカゼミーロ、トニ・クロース、ルカ・モドリッチとジダン政権で盤石の中盤を築いてきたプレーヤーに加え、イスコ、ハメス・ロドリゲス、今季台頭してきたフェデリコ・バルベルデがいる。
そこに加わるレンタル組のウーデゴール、セバジョス、オスカル・ロドリゲス、久保建英...。素晴らしい選手が揃っている一方で、激烈なポジション争いという問題が引き起こされる。
基本的に4-3-3で戦うジダン監督にとって、中盤の枠は3枚だ。ただ、1月に行われたスペイン・スーパーカップでは4-5-1が試され、「5人の中盤」が躍動。見事、タイトル奪取に成功した。
■機能した理由
5人の中盤が機能した理由としては、大まかに2つ挙げられる。まずはイスコの存在だ。彼にはフリーロールの役割が与えられ、中盤から前のゾーンで自由に動いた。これが試合によってはチーム内に混乱を来すという現象を生むが、先のスペイン・スーパーカップでは嵌った。
そして、F・バルベルデとモドリッチの関係性である。この2選手が完璧な補完関係を築いた。ポジションを入れ替わりながら動き、攻撃面で相手のマークを攪乱、守備面ではペルムータを活用しながら穴を塞ぎ続けた。
リーガ優勝とチャンピオンズリーグ制覇の2冠を達成した16-17シーズン、その時はジダン監督の「プランB」が大いに機能した。ハメス、アルバロ・モラタ、マルコ・アセンシオらの活躍があり、競争力が煽られ、全体が活性化した。
中盤の枚数を増やすのか、選手マネジメントで乗り切るのかーー。マドリディスタの期待とチームの課題が、交錯している。