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レアル・マドリーとモドリッチの決断は。若手台頭と中盤の序列に訪れた変化。

森田泰史スポーツライター
主力として活躍してきたモドリッチ(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

決断する「権利」を得た。ルカ・モドリッチがレアル・マドリーに残留するのかどうか、注目が集まっている。

マドリーは今季、フェデリコ・バルベルデが台頭した。カゼミーロ、モドリッチ、トニ・クロースの盤石の中盤に、割って入る存在が現れた。カゼミーロ(25試合出場/出場時間2220分)、モドリッチ(22試合出場/出場時間1355分)、クロース(24試合出場/出場時間1879分)、F・バルベルデ(22試合出場/出場時間1266分)とプレータイムは分散されている。

※数字はリーグ戦のもの/筆者作成
※数字はリーグ戦のもの/筆者作成

モドリッチは2012年夏にトッテナムからマドリーに移籍。ジョゼ・モウリーニョ監督(現トッテナム)の強い要望で、マドリーが移籍金4000万ユーロ(約48億円)を支払い、獲得が実現した。

■幼少時代

ただ、彼のキャリアは順風満帆ではなかった。

モドリッチは旧ユーゴスラビアで生まれた。彼が6歳の頃、1991年にクロアチアが独立を宣言して、クロアチア紛争が始まる。すると、彼は家族と一緒に故郷ザダルへと疎開した。内戦が終わっても、モドリッチは故郷でサッカーを続けたいと主張し、航空会社でエンジニアとして働いていた父親と裁縫で生計を立てていた母親はそれを認めた。

転機が訪れたのは、モドリッチが16歳の時だ。ディナモ・ザグレブの下部組織入団が決定した。順調に成長して18歳でトップ契約を結び、ズリニスキ、ザプレシッチへのレンタル移籍を経て、2004-05シーズン途中にD・ザグレブに復帰。以降、主力として活躍した。

2007年には、リーグ年間最優秀選手に選ばれた。そして、2008年夏にトッテナムがモドリッチの獲得に動く。当時史上最高額の移籍金2300万ユーロ(約27億円)で、移籍が成立した。

■2018年のバロンドール

そのモドリッチは、今季、マドリーで8シーズン目を迎えている。

紆余曲折はあった。2018年夏には、移籍騒動に巻き込まれた。ロシア・ワールドカップで、クロアチア代表の準優勝に貢献したモドリッチに、インテルが強い関心を示した。だがフロレンティーノ・ペレス会長は彼の移籍を容認しなかった。バロンドールを獲得する可能性があったためだ。

そして、「バロンドーラーをマドリーの選手から」というペレス会長の念願は叶った。モドリッチは2018年のバロンドールを受賞した。リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドの時代に風穴を開ける、価値ある受賞だった。

現在、モドリッチとマドリーとの契約は2021年夏までとなっている。デイビッド・ベッカム氏がオーナーを務めるインテル・マイアミが、モドリッチに関心を寄せているという。

マルティン・ウーデゴール(レアル・ソシエダにレンタル中)の復帰、ドニー・ファン・デ・ベーク(アヤックス)、ポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)、エドゥアルド・カマヴィンガ(レンヌ)の獲得と中盤補強に関する噂は絶えない。

マドリーとしては、モドリッチに判断を委ねる考えだ。マドリー移籍後、16個のタイトルを獲得した男の決断に耳を傾けたい。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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