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ビジャの突然の引退表明。誇りを抱き、決定力を発揮し続けた「少年」が迎えるフィナーレ

森田泰史スポーツライター
ビジャ(写真:築田 純/アフロスポーツ)

また一人、偉大なフットボーラーがスパイクを脱ぐ決断を下した。

ヴィッセル神戸に所属するダビド・ビジャが、今季限りでの現役引退を表明した。12月に行われる天皇杯が、彼にとって最後の大会になる。

■類稀な決定力

スポルティング・ヒホン、サラゴサ、バレンシア、バルセロナ、アトレティコ・マドリー、メルボルン・シティ、ニューヨーク・シティ、ヴィッセル...。ビジャがプレーしたクラブだが、並べてみると錚々たる顔ぶれだ。

ビジャの特徴ーー。それは類い稀なる決定力に他ならない。

スポルティング(リーグ戦79試合38得点)、サラゴサ(77試合32得点)、バレンシア(166試合107得点)、バルセロナ(77試合33得点)、アトレティコ(36試合13得点)、メルボルン(4試合2得点)、ニューヨーク・シティ(124試合80得点)、ヴィッセル(26試合12得点)とゴールを量産してきた。

半年レンタルのオーストラリアでの日々を除くと、唯一、二桁得点できなかったのが2011-2012シーズンだ。2011年12月に日本で行われたクラブ・ワールドカップで脛骨を骨折してシーズンを棒に振ったためである。

その日本で、ビジャはキャリアを終える。これもまた数奇な運命である。

■誇りを抱いて

ビジャはアストゥリアス州出身だ。ラングレオにあるトゥイージャという街で生まれた。

アストゥリアスからは、サンティ・カソルラ、フアン・マタ、ジョニー・ロドリゲス、アドリアン・ロペスなど多くの優秀な選手がプロの世界へと羽ばたいている。また、スペイン代表のルイス・エンリケ前監督、バレンシアのマルセリーノ・ガルシア・トラル前監督、アラベスで乾貴士を指導したアベラルド・フェルナンデスがアストゥリアス州出身指揮官として名を馳せている。

El Guaje(エル・グアヘ)というビジャのニックネームはアストゥリアス語で『子ども』『少年』を意味する。スポルティングのBチームにいた頃、本人曰く「いたずら好きだったから」付けられたものだ。

EURO2008以降、ビジャのスパイクには、そのニックネームと家族の名前が記されている。加えて、スペイン国旗とアストゥリアス州旗がつけられており、それはビジャが出身地に誇りを抱いている証だろう。

スペイン代表通算59得点は同国歴代1位の数字である。19シーズンで、14タイトルを獲得。決して色褪せないビジャのキャリアの最後を見届けたい。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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