グアルディオラ主義が、ディフェンダーの世代を破壊。「クラシックなCB」の存在意義。

ホセ・ヒメネスとラモス(写真:ロイター/アフロ)

時代と共に、センターバックの役割は変化してきた。

ゴールキックの際、センターバックがペナルティーエリアの脇に広がり、パスを受ける準備をする。数的優位を作って、相手の前線からのプレスを剥がすためである。現代フットボールで、よく目にする光景だ。

この動きが普及したのは、ペップの愛称で親しまれるジョゼップ・グアルディオラ監督の影響が大きい。彼は2008年から2012年までバルセロナを率いて実に14個のタイトルを獲得した。バルセロナ時代の勝率は72,4%だ。タイトル数や勝率だけではなく、そのフットボールは観る者の多くを魅了した。

「チームが良いプレーをするために、重要なのはセンターバックだ」

故ヨハン・クライフは、かつてそう語ったことがある。ペップが師と仰ぐ男の言葉は、どこか予言めいた響きをもって世界の各所でリフレインしている。

■仕事はディフェンス

以前、センターバックの仕事といえば、文字通りディフェンスだった。攻撃面の役割は、早い段階で前線にロングボールを送るか、プレービジョンと展開力のあるボランチにボールを預けるくらいだった。攻撃の組み立てに参加することは、まるで「タブー」のように扱われていた。

分岐点になったのは、ルールの変更だろう。昔のGKは味方からのバックパスを手でキャッチすることができた。しかしながら1992年にルールが変わり、センターバックの「最後の選択肢」は奪われた。そして、現在。ペップの影響で、足元の技術に優れたGKがゴールマウスに据えられ、長短のパスを織り交ぜながら前進していくチームが増えた。言わずもがな、そこにセンターバックが深く関与する。

遺伝子型のセンターバックは減少傾向にある。一方で、後天的な、アカデミックなCBが増え始めた。教訓を確実に吸収できる守備者だ。いま、最終ラインに求められているのは、本能のままに動く、身体的な選手ではない。頭脳的な、理知的なプレーヤーである。

後方からゲームを組み立てる。その象徴となったのは、フランツ・ベッケンバウアーだろう。ただ、前述したルールの変更前に、あのようなプレースタイルで名を馳せたベッケンバウアーの存在は異質だ。一方、1990年代から2000年初期に活躍したフランコ・バレージ、パオロ・マルディーニ、ファビオ・カンナバーロといった選手たちは、やはり、守備力に長けていた。守備に特化した選手たちだった。

彼らはいずれも、インテリジェントなセンターバックであった。だが、その「頭脳」が発揮されるのが、攻撃時であるか、守備時であるか、という違いだ。

■センターバックの価値

ただ、時代の流れには抗えない。

今季のリーガエスパニョーラにおいて、10試合を終えたところでパス本数の上位5選手のうち、実に3選手がセンターバックだった。リアクション型ではなく、アクション型の選手が必要になってきているのである。

しかしながら、弱者の兵法を実践し続けてきたディエゴ・シメオネ監督が指揮を執るアトレティコ・マドリーでは、ディエゴ・ゴディンやホセ・ヒメネスのような、「クラシックなCB」が中核に据えられている。強く、速く、空中戦に強い守備の選手が軽視されてきているなか、彼らは異彩を放っている。

CBの価値と評価自体は総じて上がっていると言える。リヴァプールは2017年12月に移籍金8400万ユーロ(約107億円)でフィルジル・ファン・ダイクを獲得。マンチェスター・シティは2016年夏にジョン・ストーンズ獲得に移籍金5560万ユーロ(約71億円)という高額を費やした。2017-18シーズン、リヴァプールはチャンピオンズリーグで決勝まで進み、シティはプレミアリーグで優勝した。

センターバックの重要性は間違いなく高まっている。その一方で、警鐘が鳴らされているのも事実だ。

「グアルディオラ主義が、ディフェンダーの世代を破壊してしまった」と語ったのは、ジョルジュ・キエッリーニである。

「イタリア代表には、20年前にいたような点取り屋が不足している。その一方で、『真のディフェンダー』が再び現れるというのも、また必要なことだ」

フットボールは傾向によって決まる。温故知新は大いに結構である。だが、多様性が、このスポーツを豊かしてきた事実を忘れてはならないはずだ。