バルサの新たな3トップは機能するか。移籍金137億円でのデンベレ獲得に「グレー」はない。
ついに、パリ・サンジェルマンへと移籍したネイマールの代わりを務める選手が、バルセロナに到着した。
選ばれたのは、ウスマン・デンベレだ。バルサは移籍金1億500万ユーロ(約137億円)+ボーナス4000万ユーロ(約52億円)を支払うことで、ボルシア・ドルトムントと合意。リオネル・メッシ、ルイス・スアレスの新しい「相棒」が決定している。
■移籍金は昨年夏の10倍近くに
昨年夏にも、バルサにデンベレ獲得のチャンスがあったのを知る人は多いだろう。バルサは1500万ユーロ(約19億円)でレンヌからデンベレを獲得できた。だが、それを実行しなかったのである。
デンベレ自身が、昨夏のバルサ移籍を望まなかったともいわれている。メッシ、スアレス、ネイマールの3トップを前にしては、デンベレの序列は4番手のFWから動かなかっただろう。出場機会を求めたデンベレはドルトムント移籍を選び、素早くブンデスリーガに適応して評価を高めていった。
ネイマールの契約解除金として、この夏にバルサが手に入れた2億2200万ユーロ(約290億円)の大金をもってすれば、デンベレの獲得費は十二分に賄えるものだった。しかしながら、この一年で彼の移籍金は10倍近くに膨れ上がった。バルセロニスタの中には、クラブ幹部の手腕に疑いの目を向ける者もいる。
バルサは近年、才能溢れる選手を早い段階で確保して、他クラブへのレンタルなどによって成長を促すという方法論を少しずつ形にしてきた。デニス・スアレスはその一例だ。彼はカンテラーノだと言われているが、実のところ、バルサの育成組織で過ごしたわけではない。
デニスは17歳でセルタからマンチェスター・シティに渡り、19歳の時にバルサのBチームに引き抜かれた。その後バルサは彼の買い戻しの権利を握ったままセビージャ、ビジャレアルでの成長を追跡。昨年夏にトップチームでプレーさせるため、325万ユーロ(約4億円)でルイス・エンリケ前監督の傘下に加えた。
こんにち、パリSG、チェルシー、マンチェスター・シティといったクラブと競合するためには、賢くなる必要がある。時機を読み、機転を利かせ、状況に応じて大胆にならなければいけないのだ。
■デンベレに待ち受ける「白」か「黒」の基準
デンベレにバルサで求められること。それは1対1での仕掛けと、攻撃におけるスピードの注入である。
仕掛けてボールをロストすれば、目の肥えたカンプ・ノウの観衆からはすかさずブーイングが浴びせられるだろう。それでも彼は仕掛け続けなければいけない。それがバルサのウイングの「生業」だからだ。
また、バルサはネイマールが抜け、カウンターの鋭さを明らかに欠いている。この「物理的なスピード」を補うため、スポーツディレクターのロベルト・フェルナンデスはデンベレに目を付けたはずだ。
デンベレはドルトムントで持ち前のスピードを存分に生かして、積極的に仕掛けてきた。それをバルサでも続けるべきだ。ネイマールとの比較が、あったとしても、である。
つまるところ、ネイマールとの比較は、避けられない。20歳にして、高額な移籍金で加入したデンベレには、残念ながら中間の評価というのは存在しない。
白か、黒か。グレーはない。デンベレが新天地で出世するのか、はたまた没落してしまうのか。バルサにとって、デンベレにとって、大きな挑戦が始まろうとしている。