観測史上類を見ない大雨が降ったワケ ニュージーランド
「今世紀、いや前世紀も含めて、見たことのないほどの量の雨が降るだろう」
先週末、ニュージーランドの気象官が警告したことが、本当になってしまいました。27日(金)、国内最大都市のオークランドで249ミリの雨が降り、観測史上最も雨の多い1日となりました。これはひと夏に降る降水量に匹敵し、年間降水量の4分の1に相当します。ニュージーランドではその後も雨が降り続いています。
大雨被害まとめ
結果、大規模な洪水が発生しています。
腰まで水に浸かった人たち、ボンネットぎりぎりの高さまで冠水した車、そして池のようになってしまったスーパーマーケットの店内など、目を疑うような光景が見られました。また国際空港も水浸しで、航空便の遅延と欠航が続いています。
さらに地滑りにより、海辺の崖に建っていた大豪邸の一部が崩れるという出来事もありました。洪水や土砂崩れにより、これまで4人の死亡が確認されています。
記録的豪雨のワケ
このように、観測史上例のない大雨が降った原因は何だったのでしょうか。
まず、低気圧が北から接近、行く手を南の高気圧に阻まれ、居座ったことが挙げられます。
次に、ニューカレドニア以北から延びる太い雲の帯、「大気の川」がかかったことです。大気の川とは、大量の水蒸気が帯状に流れ込んでくる現象で、梅雨期の日本や冬のアメリカ西海岸などにも現れ、恵みの雨と共に災害を引き起こします。ニュージーランドで起きる大洪水の9割も、この大気の川が原因というデータがあります。
これらの理由に加えて、ラニーニャ現象の影響によりニュージーランド近海の海水温がいつもよりも摂氏2度ほど高い状態が続いていたことで、水蒸気が供給されやすい状況となっていました。
温暖化は羊が原因?
このまま温暖化が進めば、ニュージーランドでは「少雨か豪雨」という極端な天候が頻発するだろうと予想されています。
温暖化といえばこんな話がありました。2007年4月1日、これまでの常識を覆す、次のような新説が科学誌に発表されたのです。
「地球温度が上がったのは、CO2の増加が原因ではない。ニュージーランドの羊が減って、黒い大地がむき出しになり、太陽光を吸収するようになったからだ。さらに悪いことに、温暖化が進めばウールの需要も減って羊の数も減少し、地球はより暖かくなるだろう」
お気づきの通り、これはエイプリールフールの冗談だったのですが、なるほど、と納得した人もいたとかいなかったとか。