25日(水)、富士山頂の気温は－36.1度まで下がり、国内歴代9位タイとなる寒さを記録しました。

極寒の空気は広くアジアを覆い、各地で様々な記録が作られ、問題も起きています。

ロシア

まず"世界一寒い"都市、ロシア東部のヤクーツクでは、18日(水)の朝の気温が－62.7度まで下がり、国内における20年ぶりの低温記録となりました。－60度といえば、マグロもしょう油も、かちん、こちんに凍る温度です。

ヤクーツクは、下の写真のように白い霧に包まれました。その霧の正体は、家や車、工場などから出た煙が凍った、氷霧(アイスフォッグ)と呼ばれる現象です。

この氷霧が起きるには－30度以下の気温が必要で、－40度を下回ると濃霧になって、50メートル先も見えなくなるそうです。

アフガニスタン

アフガニスタンでは、－34度まで気温が下がるなど、15年ぶりの寒さとなっています。少なくとも157人が死亡、7万頭の家畜が死んだと、タリバン政権が報告しています。

ところが女性ボランティアが現地に入れないという理由などから、国際的な支援の手がなかなか届かないという問題が起きているようです。

イラン

お隣イランでは、平年を10度も下回る低温が続き、エネルギー需要が急増、テヘランや複数の都市で大停電が起きているようです。節電のために学校や政府機関が閉鎖されています。

イランはロシアに次ぐ、世界第2位の天然ガス埋蔵国です。そこで同国のエネルギー大臣は、ヨーロッパが寒くなれば、自国の天然ガスへの需要が高まると期待していたようですが、いざ冬になってみると、欧州は暖冬、イランが寒冬で、逆に自国民がエネルギー不足にあえぐことになってしまいました。

中国

22日(日)には、中国最北端の都市モヘで－53.0度まで気温が下がり、中国国内(新疆ウイグル自治区を除く)の観測史上最低気温となりました。

また同市では国内史上2度目となる、3日連続の－50度台を記録しました。

生卵がたった数秒で凍ってしまったなど、様々な映像が撮られてSNSをにぎわせています。

北朝鮮

寒気はだんだんと南へと広がり、24日(火)には、北朝鮮のペクト山の麓に位置するサムジヨンで－34.9度を観測しました。

BBCによれば、北部の地域では、断熱のために窓やドアにラップを貼ってしのぐような貧しい家庭が多いようです。被害は伝えられていませんが、複数の死者が出ているのではないかと心配されます。

韓国

また、冬季五輪が行われた韓国のピョンチャン周辺では、25日(水)に－25.2度、首都ソウルでも－17.3度まで下がりました。

こんな寒いのですが、ピョンチャンの雪山では、上半身裸の海軍の兵士が雪の上で腹筋をしたり、走って滑り込みしたりするなど、汗をかきかき、いつも通りの訓練に励んでいたようです。

アジアがこれほど寒いのは、北極から寒気が吹き出してきたためですが、温暖化で北極海の氷が溶け、太陽光を吸収し海水が温かくなると、こうした寒気の吹き出しがより起こりやすくなるのではと考えられています。

冬と言えば、こんな言葉を残した作家がいます。

「永遠に去らない冬はない。巡ってこない春もない」(by　ハル・ボーランド)

いつか始まる春に希望を抱き、この厳冬をしのいでいる。いまアジアの人たちは、みな同じ思いで寒さに耐えていることでしょう。