選抜大会に出場する珍しい名字の選手達「東日本」編 珍しい「芦硲」と意外と多い「結束」
18日から甲子園球場で選抜高校野球大会、いわゆる春の甲子園が始まった。
北海道から鹿児島県まで全国各地の高校が参加することから、中には見たことのない珍しい名字の選手がいることも少なくない。そこで、今回も出場する選手達の中から珍しい名字の選手をみてみよう。
なお、選手名簿はサンデー毎日増刊号の公式ガイドブック「センバツ2024」を使用した。また、本記事では漢字の新旧字体は同じとみなした上で、読みによってランク付けしてある。
日本人の名字の総数は10万以上。私はランキング1万位以下が珍しい名字と考えている。そして、2万位以下になるとかなり珍しい。選抜大会に出場登録されている32校633人(別海高は16人、田辺高は18人、耐久高は19人しかいない)の選手の中から、カタカナ名字の選手を除いて、2万位以下の名字の選手を中心に探してみた。
東日本各校の選手たち
まずは東日本編。
東日本各校の選手の中では、日本航空石川高の猶明(ゆうめい)選手と、星稜高の芦硲(あしさこ)選手の名字がとくに少ない。
「猶明」は富山県の名字で氷見市に集中している。猶明選手も氷見の出身で2年生ながら主力投手の一人。
一方の芦硲選手も石川県の星稜高だが、出身は大阪府河内長野市。「芦硲」という名字は和歌山県みなべ町の名字で、現在は和歌山県や大阪府に点在する。
「さこ」とは西日本で谷間のこと。漢字は「迫」をあてることが多いが、「佐古」「峪」「嶝」など地域によって色々な漢字を使用する。和歌山県では「硲」という漢字を使うことも多い。「芦硲」とはは「芦が繁っている谷間」を意味している。
この他では、甲子園ではおなじみの名字となっている八戸学院光星高のエース「洗平(あらいだい)」や、青森山田高の「乕谷(とらたに)」、中央学院高の「颯佐(さっさ)」、作新学院高の「黒鵜(くろう)」が極めて珍しい名字である。
「乕谷」の「乕」は「虎」の異体字で「虎谷」から漢字を変えたもの。「颯佐」は千葉県印西市の名字で「佐々」の異表記だろう。「黒鵜」は栃木県大田原市などにある名字で、江戸時代の黒羽藩士にも黒鵜家があった。
意外と多い「結束」
これらとは逆に、珍しそうに見えて意外と多いのが、高崎健大高崎高の結束(けっそく)選手。名字ランキングでは1万位以内なので、珍しい名字の範疇には入らない。
「結束」という、いかにも団体スポーツに向いてそうな名字で、何か特別な由来がありそうだが、実は茨城県牛久市にある結束という地名がルーツ。
現在でも全国のこの名字の半数以上が茨城県にあり、とくに筑波地方に集中している。結束選手も牛久市の出身である。