朝ドラ「舞いあがれ!」、ヒロインの祖母「才津」は五島列島の名字か
10月から始まったNHK連続テレビ小説は「舞いあがれ!」。東大阪市に住むヒロイン岩倉舞の祖母は長崎県五島列島の出身で、ドラマでは東大阪市と五島列島が舞台となっている。
このうち、五島列島を舞台とする部分では、ヒロイン岩倉舞の祖母才津祥子の他、木戸豪、浦信吾、山中さくらといった人物が登場する。ここに出てくる「才津」「木戸」「浦」「山中」は実際に五島でよくみられる名字なのだろうか。
登場人物達の名字
まずは「才津」。
この中では最も珍しい名字で、かつ長崎県独特の名字である。県内でも大半が五島市に集中しており、とくに福江地区に多い。五島列島を代表する名字の1つといってもいい。因みに「津」とは湊のことで「才」は当て字だろう。
「木戸」とは屋敷や城、町などの入り口に作られた門のこと。従って木戸は全国各地にあり、「木戸」という名字も沖縄以外に広く分布している。もちろん長崎県にも多く、県内ではやはり五島市に集中している。
「浦」は珍しい名字ではないが偏りが激しく、長崎県、和歌山県、石川県の3県に集中している。「浦」とは漁村を指し、農村を「~村」といったのに対し、漁村を「~浦」ということもあった。前述の3県はいずれも海岸線が長く、「浦」がたくさんあったため、「浦」という名字も多い。
中でも最も多いのが長崎県で、県内では県北部から五島列島にかけてとくに多い。
「山中」は全国に広く分布するメジャーな名字で、長崎県にも五島列島にも多い。
つまり、この4つの名字は、いずれも五島列島にはよくある名字といえる。
長崎県と五島列島の名字
それでは、長崎県全体ではどんな名字が多いのだろうか。最多の名字は「山口」で、以下「田中」「中村」「松尾」「松本」「山下」「吉田」「森」「山本」「前田」。
しかし、五島列島では「中村」が最多で、以下「山口」「出口」「平山」「田中」の順。3番目に多い「出口」は、他県では「でぐち」と読むのに対し、五島では「いでぐち」である。県内でも長崎市周辺では「でぐち」の方が多い。
この他では「佐々野」「浦」「博多屋」「大瀬良」「大水」「夏井」などが独特の名字である。
こうしてみると、このドラマの脚本家は、五島列島にはどういう名字が多いかを確認したうえで、登場人物の名字を決めているのだろう。
名字は地域によってかなり違い、地方を舞台にするドラマだと、やはりその地に多い名字を登場させた方がリアリティが出る。