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大阪桐蔭と仙台育英の直接対決があるか? 「センバツ前哨戦」神宮大会展望

森本栄浩毎日放送アナウンサー
秋の王者に輝くのはどのチームか?神宮大会が始まる(18年の大会から 筆者撮影)

 18日に開幕する明治神宮大会は、全国10地区の優勝校が集う「センバツの前哨戦」でもある。今大会は、連覇を狙う大阪桐蔭(近畿)を始め、今夏の甲子園優勝メンバーを多く擁する仙台育英(東北=宮城)や注目スラッガーのいる広陵(中国=広島)、投打のバランスがいい東邦(東海=愛知)など、センバツでも優勝候補に挙がりそうな強豪が、激しい優勝争いを繰り広げそうだ。

 まずは、10校をトーナメントに合わせてブロック別に見ていきたい。

前半ブロック

 1回戦 大阪桐蔭(近畿)-東邦(東海=愛知)

 2回戦 A 沖縄尚学(九州)-仙台育英(東北=宮城)

     B クラーク記念国際(北海道)-<大阪桐蔭・東邦の勝者>

 準決勝 A-B

大阪桐蔭に挑む東邦の149キロ右腕

 前半ブロックには有力校が揃った。開幕戦の大阪桐蔭と東邦はハイレベルな攻防が期待できる。エース・前田悠伍(2年=主将)が健在の大阪桐蔭は、近畿大会で不調だった攻撃陣の援護が不可欠。打順も固まっておらず、中軸を打つ徳丸快晴(1年)や南川幸輝(2年)らが早い回に活気づけたい。東邦は沖縄出身の最速149キロ右腕・宮國凌空(2年)に注目。滋賀・近江の山田陽翔(西武からドラフト指名)を連想させるパワータイプで、変化球も精度が高い。主将の石川瑛貴(2年)を4番に据える打線は下位までムラなく打てる。石川は兄の昂弥(21=中日)がセンバツで優勝していて、兄弟でのセンバツ制覇に意欲を見せる。

仙台育英は優勝メンバーの3投手が軸

 仙台育英にも、初戦から難敵が待ち受ける。沖縄尚学は、打線の対応力が高い。1番の知花慎之助(2年)は九州大会で.714、2本塁打と打ちまくった。好機にも強く、攻撃に勢いをもたらす。仙台育英は、夏の甲子園でも主戦格だった高橋煌稀(2年)、湯田統真(2年)の両右腕に、左腕の仁田陽翔(2年)と投手陣は万全。打線は中軸を下級生で固めるが、甲子園でも猛威を振るった橋本航河(2年)、山田脩也(2年=主将)の1、2番コンビが健在なのは心強い。沖縄尚学は、エース・東恩納(ひがしおんな)蒼(2年)が終盤まで粘って打線の援護を待ちたい。

クラークはバッテリーが甲子園を経験

 2年連続で北海道王者に輝いたクラーク記念国際は、今センバツで正遊撃手だった新岡歩輝(2年=主将)がエースになり、同じく正捕手だった4番打者の麻原草太(2年)とバッテリーを組む。新岡は多彩な腕の出どころから、変化球中心で打たせて取る頭脳派。北海道大会を一人で投げ抜き、防御率0.26と抜群の安定感を誇る。このブロックは今センバツ王者の大阪桐蔭と、今夏の甲子園優勝校・仙台育英の直接対決が実現するかが最大の焦点で、当たるとすれば大阪桐蔭にとっては連戦になり(仙台育英は中一日)、底力が試される。

後半ブロック

 1回戦 山梨学院(関東)-英明(四国=香川)

 2回戦 C 広陵(中国=広島)-東海大菅生(東京)

     D 北陸(北信越=福井)-<山梨学院・英明の勝者>

 準決勝 C-D

広陵は真鍋ら強打者が健在

 後半ブロックは、前回大会準優勝の広陵が中心になる。今センバツでも注目された「広陵のボンズ」こと真鍋慧(2年)は中国大会で徹底マークされ不発だったが、主将の小林隼翔(2年)、田上夏衣(2年)ら甲子園経験者が要所で活躍した。投手陣は、エースと期待される最速144キロ右腕の高尾響(1年)が県大会後に故障し、どこまで回復しているか。左腕の倉重聡(1年)と右の横川倖(2年)も力をつけていて、様々な継投パターンが考えられる。投打とも前チームと遜色ない陣容だ。対戦する東海大菅生は、190センチの大型右腕・日當(ひなた)直喜(2年)がマウンドを守る。140キロを超える角度のある速球と変化球のコンビネーションで打ち取る。東京大会では連投となった準決勝、決勝を完投し、遊撃手・門間丈(2年)らが堅守で支えた。広陵の強打をうまくかわして終盤勝負に持ち込みたい。

山梨学院はエースが急成長

 レベルの高い関東で優勝した山梨学院は、堅実な試合運びが見事だった。右腕の林謙吾(2年)が急成長し、終盤に1番打者の左腕・星野泰輝(2年)が救援する。捕手の佐仲大輝(2年)は経験豊富で頼もしく、春夏連続甲子園の前チームから4番を打つ高橋海翔(2年)や主将の進藤天(2年)が打線の中心となる。1回戦で当たる英明は、夏の甲子園8強の高松商を、県大会、四国大会と、いずれも決勝で撃破した。右横手投げの下村健太郎(2年)は、宇和島東(愛媛)に1安打完封勝ちするなど、自信を深めている。球威はそれほどでもないが、ナチュラルに変化する直球で凡打を量産する実戦派で、四国大会2試合で先発した左腕・百々(どど)愛輝(1年)、球威で勝負する神田晃成(2年)もいて、多彩な投手陣を誇る。打線は迫力こそないが好機に強く、得点力は低くない。

北陸は長身右腕が投打の柱

 福井勢が上位を占めた北信越で頂点に立った北陸は、バッテリーを軸に接戦で本領を発揮する。県大会で敗れている福井商の猛追を振り切って準決勝を突破すると、決勝では敦賀気比とのタイブレークも制した。原動力はエースで4番の友廣陸(2年)。185センチの長身本格派で、変化球の制球もよく、近い将来の140キロ超えも期待できる。苦戦が予想された日本航空石川を完封して波に乗った。捕手の平田海智(2年)は経験豊富で、友廣や1年生の控え投手をうまくリードする。山梨学院と英明の勝者が相手になる。

「神宮枠」はどの地区に?

 神宮大会優勝校の地区には来春センバツの「神宮枠」が与えられる。昨年は大阪桐蔭が手にした貴重な1枠は、どの地区にもたらされるか。地区大会を終え、当落線上と目されるチームの関係者は、祈るような気持ちで見つめていることだろう。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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