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大阪桐蔭、履正社が圧倒的強さ! 奈良2強は明暗分かれる

森本栄浩毎日放送アナウンサー
大阪桐蔭は5回戦でエース・前田が初登板し、履正社とともに8強入りした(筆者撮影)

 ハイレベル近畿の各地方大会が盛り上がってきた。大阪では「2強」の大阪桐蔭履正社が、それぞれ有力校と当たったが問題にせず、圧倒的な強さで8強入りした。一方、奈良の準決勝では天理が高田商にコールド勝ちしたが、昨夏甲子園準優勝の智弁学園は逆転負けを喫し、こちらは「2強」の明暗が分かれた。

エースもたつくも圧勝の大阪桐蔭

 大阪桐蔭はエース・前田悠伍(2年=タイトル写真)が、東海大大阪仰星との5回戦でようやく今大会初登板。立ち上がりから制球に苦しみ、四球を連発するなど、絶好調だったセンバツ時からはほど遠い出来。それでも要所は締めて、4回を3安打無失点にまとめた。打線は初回に3番・松尾汐恩(3年)の本塁打などで2点を奪うと、3回には7番・星子天真(3年=主将)の2点適時二塁打などで5点を挙げ、序盤で大勢を決めた。今大会は前田以外の投手も好調で、5回からは右腕の別所孝亮(3年)、7回から左腕の小林丈太(3年)が無安打継投を見せ、8-0の7回コールドで準々決勝進出を果たした。

センバツ8強にコールド勝ちの履正社

 ライバルの履正社は、センバツ8強の金光大阪と対戦。相手エースの古川温生(3年)を打ちあぐんでいたが、5回に一挙5点のビッグイニングを完成させて主導権を握ると、8回にも5点を奪って10-0とした。守っては先発の左腕・増田壮(2年)が好投。3投手の継投で、「2強」に次ぐ実力と言われた強敵を寄せ付けなかった。打線が非力だった秋に比べると、格段に打てるチームに変貌し、多田晃監督(44)の積極采配にも勢いが感じられる。「2強」が当たるとすれば決勝となるが、現状、両校とも死角は見当たらず、一騎打ちムードがさらに高まった。

大阪桐蔭は春に苦戦した好投手と対戦

 準々決勝で大阪桐蔭は大阪電通大高と当たる。春の大会では、電通の最速148キロ右腕・的場吏久(3年)の185センチから投げ下ろす角度のある球を打ちあぐみ、4安打3得点と苦戦した。変化球の制球が冴え、緩急を使われると春の二の舞も考えられる。チーム力にはやや差があるため、西谷浩一監督(52)も序盤は手堅い戦法になるか。履正社の相手は実力校の近大付で、ノーシードながら好左腕・西平晴人(3年)の力投で勝ち上がってきた。

智弁学園は生駒に逆転許す

 奈良では天理と智弁の「2強」が準決勝で明暗を分けた。天理は、昨夏、今チームの昨秋と土をつけられた高田商相手に序盤から圧倒。新戦力の2番・松本大和(1年)の満塁走者一掃打などで4回までに7点を奪い、エース・南澤佑音(3年)が2安打完封で7回コールド勝ちした。一方の智弁は、序盤こそ2本塁打などで主導権を握ったかに思われたが、生駒に反撃され、徐々に雲行きが怪しくなる。そして7回、エースの大坪廉(3年)が踏ん張り切れず逆転を許すと、チームに再逆転する力は残されていなかった。こうして昨夏の甲子園準優勝校は、甲子園未経験の生駒に5-7で敗れ、ライバルとの対決を前に姿を消した。

京都国際は森下復活で平安と決勝

 近畿のトップを切って、水曜日には京都で決勝が行われる。古豪・龍谷大平安京都国際という予想通りの顔合わせ。京都国際は準決勝で、エース・森下瑠大(3年)が初登板。失点もあったが球威はまずまずだった。ただ全体に球が高く、森下らしい低めの制球力は影を潜めていた。決勝の先発は、ここまで好投している右腕の森田大翔(3年)か。京都国際は打線が好調で、集中打がある。平安は投手陣が粘り強く投げて、終盤勝負に持ち込みたい。

兵庫は公立3校がベスト4に

 兵庫は準決勝で神戸国際大付加古川西長田が対戦する。3校が公立で、特に長田は兵庫の公立校でトップの進学実績を誇る。加古川西も伝統進学校で、関西学院、滝川二などの強豪を倒してきた。社は秋の県大会優勝校で、センバツ4強の経験もあるが、夏の甲子園はまだ出場がない。投打のバランスは4校で随一とみる。神戸国際大付は1年生右腕・津嘉山健志郎が抜群の安定感で、僅差の試合に強く、連続出場のカギを握る。

智弁和歌山順調、近江の山田も不安なし

 和歌山は甲子園連覇を狙う智弁和歌山がここまで危なげなく勝ち進んでいる。準決勝は和歌山南陵と。市和歌山とのセンバツ出場校対決を制した和歌山東は、伝統校の桐蔭と対戦する。滋賀では近江山田陽翔(3年=主将)が、伊吹を6回2死までパーフェクトに抑える快投を見せ、不安説を吹き飛ばした。古豪の比叡山と準決勝で当たる。もう1カードは立命館守山綾羽で、近江1強を崩すチームが出現するか。このあとも注目カード目白押しで、ますますヒートアップしそうだ。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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