大阪桐蔭 連覇への道  センバツ記念大会

センバツが開幕する。最大の焦点は、大阪桐蔭の春連覇なるか、だ(筆者撮影)

 いよいよセンバツが23日に開幕する。昨春、下級生の活躍で頂点に立った大阪桐蔭が当然、今大会の優勝候補一番手なのは明らか。しかし、これを追うライバル校も力をつけていて、優勝までの道のりは決して平坦ではない。(学年は4月からの新学年)

抜群の投手陣も秋から翳り

 大阪桐蔭の強さは、柿木蓮、根尾昂、横川凱(いずれも3年)の投手陣にある。圧巻だったのは昨秋の近畿大会で、3投手で自責はゼロ。この段階で、全国の誰もが、「センバツ連覇は間違いないだろう」と思ったはずだ。翳りが見え始めたのは、続く明治神宮大会。初戦は突破したが、創成館(長崎)のしぶとい攻守に押され、先発の柿木が打たれて劣勢に。救援した横川、そして根尾まで失点し、内容的にも完敗だった。

練習試合で3敗

 一冬越えて迎えた春。3月8日に解禁となった練習試合では、初戦こそ圧勝したものの、沖縄遠征で興南に1敗。関西に戻ってからも、福知山成美(京都)戦で守りが乱れて序盤に5失点し敗戦。何より、投打の歯車が噛み合っていない。

春の練習試合は13試合組んで10試合の消化。西谷監督は、「最後の試合が(雨で)流れたのは痛い」。根尾をマウンドに上げるつもりだったか?(筆者撮影)
春の練習試合は13試合組んで10試合の消化。西谷監督は、「最後の試合が(雨で)流れたのは痛い」。根尾をマウンドに上げるつもりだったか?(筆者撮影)

 西谷浩一監督(47)は、「3試合も負けたら(もう1試合は浦和学院=埼玉戦)いけない。1年でそれくらいしか負けないのに」とおかんむりだ。最大の原因は、チームを牽引してきた藤原恭大(3年)だ。昨年は下級生ながら日本代表に選出され、今秋のドラフト1位候補でもある。俊足、強打は世代ナンバーワンの呼び声高いが、武器である足に爆弾を抱えていた。10月頃から右ヒザに痛みがあり、無理して公式戦に出ていたようだが、これが良くなかったか、年が明けても一向に回復しない。沖縄遠征ではスタメンから外れた試合もあった。

藤原の復調は?

 19日に行われた甲子園練習で、藤原はバックスクリーン右へアーチを架けた。前日の浦和学院との練習試合からフル出場し始めていたのだ。

藤原は2年で高校ジャパンに。ただ秋からヒザの状態が思わしくなく、昨春のようなパフォーマンスを発揮できるかどうか(筆者撮影)
藤原は2年で高校ジャパンに。ただ秋からヒザの状態が思わしくなく、昨春のようなパフォーマンスを発揮できるかどうか(筆者撮影)

 守備も含めて最後まで出たのは今年初めてで、2試合目もDHで打席には立った。「まだ踏み込めないところはある。(アーチは)打撃メインでやってきたので。ここからが勝負。一日一日、無駄のないように過ごしていきたい」と甲子園練習後も慎重な口ぶりだった。浦和学院との練習試合では4番に入った。藤原の本来の打順は1番だ。何といっても50メートル5秒7の俊足は相手にとって脅威以外の何ものでもない。「自分のタイミングでスタートが切れたら、盗塁は100パーセント(成功)」と言う。1番に入れるかどうか、仮に入れても万全の状態で走れるか。藤原の状態が気がかりだ。

投手陣はまだまだ

 看板の投手陣は、まだまだ仕上がっていない。

エースナンバーを背負う柿木は佐賀出身。初戦の相手・伊万里には中学時代のチームメイトもいる。どこまで状態が上がってくるか(筆者撮影)
エースナンバーを背負う柿木は佐賀出身。初戦の相手・伊万里には中学時代のチームメイトもいる。どこまで状態が上がってくるか(筆者撮影)

 最速148キロの柿木は前述の浦和学院戦で打ち込まれた。142キロ左腕の横川も直球の走りが悪く、成美戦で手痛い一発を浴びた。二人とも「(初戦の)26日に合わせて上げていく」と話すが、残された時間は多くない。西谷監督は、「投手の状態は良くない」と正直に話す。切り札の最速148キロの根尾(タイトル写真)は、沖縄で1試合7イニングを投げただけ。開幕直前の雨で、最後の練習試合(報徳学園=兵庫戦)が流れたのは痛い。根尾に関しては、4番遊撃での起用が基本線で、マウンドに上がると遊撃には主将の中川卓也(3年)が入る。「先発ならいいが、救援だとブルペンへ行くタイミングも難しいし、イニング途中でも、『行け』と言えばいけるが、あまりやりたくない」と西谷監督も根尾に過度の負担をかけたくないのが本音だろう。根尾は開会式前日、「日本一になるための準備をしてきたことに自信はある。結果が出ていない部分はあるが、打撃も含め、自分の中ではできている」と手応えを口にした。

組み合わせに恵まれるも成長がカギ

 初戦の相手は伊万里(佐賀)に決まった。21世紀枠での出場校で、伊万里には悪いが力の差はある。また、手の内を知られている智弁和歌山や明徳義塾(高知)とは別ブロックに入った。

昨春、優勝を果たし、整列する大阪桐蔭の選手たち。福井・前主将が手にした優勝旗を再び手にすることができるか(筆者撮影)
昨春、優勝を果たし、整列する大阪桐蔭の選手たち。福井・前主将が手にした優勝旗を再び手にすることができるか(筆者撮影)

 総合力ナンバーワンの東海大相模(神奈川)や神宮大会で不覚をとった創成館も別ブロックで、これら4校とは決勝まで当たらない。とはいえ、楽な相手ばかりかといえばそうではない。初出場ながら力のある明秀日立(茨城)、大型チームの東邦(愛知)、打の日大三(東京)、投手力の星稜(石川)などが上がってくれば、苦戦は免れない。主将の中川が言う「大会の中で成長しないと連覇はない」は当たっている。チーム力は間違いなくトップ。とりわけ投手力はずば抜けている。チームが上昇カーブを描いた先に史上3校目のセンバツ連覇が待っている。