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猛暑予想さらに明瞭に。夏の大雨の心配も。

森朗気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
熱気と水蒸気で発達する入道雲。筆者撮影。

6月から8月の3ヶ月予報が発表された。平均気温はおしなべて高温傾向だ。また今年も暑い夏がやってくる。

6月から8月の予想平均気温と予想降水量。(画像提供:ウェザーマップ)
6月から8月の予想平均気温と予想降水量。(画像提供:ウェザーマップ)

もはや気温は平年を上回るのが当たり前のようになっているが、加えて今年は、梅雨明け後の大雨も心配だ。長期予報の根拠を遡ってみると、2月に発表された暖候期予報では、太平洋高気圧、チベット高気圧ともに北への張り出しが強くなるという見立てになっている。前回の予想でも、予報期間が5月から7月ではあるが、状況は同じで、太平洋高気圧もチベット高気圧も平年よりも北への張り出しが強い予想のままだ。そして今回の予想では、さらに北へ張り出す傾向が強まっている。高温の予想がより明瞭になったと言えるだろう。

気象庁資料より筆者作成
気象庁資料より筆者作成

また高気圧の北への張り出しに伴って、梅雨前線の北上タイミングは早くなる、つまり梅雨明けは早いと思われる。7月の降水量が少ないのは、その現れだろう。ところが、梅雨明けの後、8月は再び多雨予想となっている。

ひとくちに高気圧が強いと言っても、太平洋高気圧が西に、チベット高気圧が東に張り出し、ちょうど日本の真上で重なるような形になるときは猛暑にはなるものの、太平洋上の湿った空気が日本付近に流れ込みにくくなる。

太平洋高気圧とチベット高気圧が重なる猛暑パターン(筆者作成)
太平洋高気圧とチベット高気圧が重なる猛暑パターン(筆者作成)

太平洋高気圧とチベット高気圧がそれぞれ北に張り出すと湿った空気の通り道ができる(筆者作成)
太平洋高気圧とチベット高気圧がそれぞれ北に張り出すと湿った空気の通り道ができる(筆者作成)

しかし、今年のようにそれぞれの高気圧が北に張り出すと、高気圧が強い上に、太平洋上の湿った空気が太平洋高気圧の縁を回って日本付近に流れ込みやすくなるため、非常に湿度が高くなって、大雨の危険も高くなってくる。また、このルートは台風の通り道にもなる。その日その日の気圧配置にもよるが、この夏は、猛暑に大雨と、心配事が多い夏になりそうだ。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

1959年生まれ。1995年に気象予報士の資格を取得、株式会社ウェザーマップに入社。TBS テレビ気象キャスターなど。湘南と沖縄(八重山)とブラジル音楽が好き。

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