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台風9号。記録的な危険を孕んだ台風になるおそれも。

森朗気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
2019年台風18号で倒れた波照間島のサトウキビ(筆者撮影)

昨日台風9号が発生、今後北上を続けて、9月1日には沖縄近海を通過して東シナ海を北上、3日は九州に接近、場合によっては上陸するおそれもある。この台風、進路もさることながら、その勢力の強さが心配だ。沖縄近海では中心気圧が925hPa、非常に強い勢力で、最大瞬間風速は70m/sの予想になっている。

8月29日6時45分発表の台風の進路予想図(気象庁HPより)に、予想される中心気圧と最大瞬間風速を筆者が追記
8月29日6時45分発表の台風の進路予想図(気象庁HPより)に、予想される中心気圧と最大瞬間風速を筆者が追記

2015年8月23日、石垣島を直撃し、最大瞬間風速71.0m/sを記録したときの台風15号の中心気圧は940hPa、同じ2015年の9月28日には、与那国島のすぐ南を台風21号が通過し、最大瞬間風速81.1m/sを記録したが、このときの中心気圧は925hPaだ。もしも、予報円の中心を通れば、台風9号は、これらの台風に匹敵、あるいはそれ以上の強さで、沖縄本島のすぐ西の海上、久米島付近を進むことになる。今後、進路予想が変わってくる可能性はもちろんあるが、現時点では記録的な暴風に備えなければならない状態だ。ちょうど旧盆と重なり、いろいろな行事も予定されているが、厳重な警戒が必要だ。

また、先日台風8号が北上したばかりにもかかわらず、東シナ海の海面水温は相変わらず高い。

日本近海の海面水温(気象庁HPより)
日本近海の海面水温(気象庁HPより)

その後も台風9号はあまり衰えず、非常に強い勢力で九州の西海上を進み、東寄りの進路を進めば、九州にかなり接近、上陸するおそれもある。長崎の最大瞬間風速の記録、54.3m/sは、1991年9月に襲来した台風19号によるものだが、このときの中心気圧は940hPaだった。台風の進路の東側になる西日本では、広い範囲で暴風や大雨に見舞われるおそれもある。ぜひ早め早めの備えを。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

1959年生まれ。1995年に気象予報士の資格を取得、株式会社ウェザーマップに入社。TBS テレビ気象キャスターなど。湘南と沖縄(八重山)とブラジル音楽が好き。

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