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九州南部が梅雨入り。今年の豪雨の可能性は?嫌な予感の海面水温。

森朗気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
近年海面水温の高さが話題になりがちな沖縄の海。筆者撮影。

九州南部が梅雨入りした。タイミングとしては平年並み。しかし、週間予報を見ると、来週半ばには晴れの予報も出ている。沖縄の梅雨も、降水日数が少ないし、どうやら今年の梅雨前線は、ずっと停滞してほどほどの雨を何日も降らせるタイプではなくて、降ったり晴れたりを繰り返し、降るときには大量の雨を降らせる、災害誘発型の梅雨前線なのかもしれない。

昨年も一昨年も、日本列島は深刻な豪雨に見舞われた。特に昨年の平成30年豪雨は、日本の南の赤道太平洋の海面水温が高いために、例年よりも大量の水蒸気が梅雨前線に流れこんだことも一因として考えられる。またその後の猛暑や台風の襲来も、高い海面水温を背景にした熱帯の活発な対流活動に起因していると考えられる。

そして、目下の海面水温は、エルニーニョの影響もあって、赤道太平洋全般が帯状に高温になっていて(図参照)、昨年に引き続き多量の水蒸気と熱が、北半球の空気中に放出されることが予想される。また、南半球の海面水温が相対的に高いと、エルニーニョが弱まることも考えられる。

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(気象庁HPより)

気象庁の長期予報でも、降水量が平年よりも多いと予想されているが、現段階では、場合によっては、どこかで豪雨災害が起きてもおかしくない状況になっていると思った方がよさそうだ。

また、夏の気温に関しては猛暑予想ではないものの、この海面水温を見ると、一時的には太平洋高気圧やチベット高気圧が強まって「災害級の猛暑」の日が出現してもおかしくない。台風の予想は出ていないが、やはり海面水温の高さが不気味だ。

災害のおそれを言えばきりがないが、今年は大丈夫、とは決して言えない。いざというとき、とにかく避難行動が大切だ。今年から避難情報の警戒レベル表現が始まった。効果に期待。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

1959年生まれ。1995年に気象予報士の資格を取得、株式会社ウェザーマップに入社。TBS テレビ気象キャスターなど。湘南と沖縄(八重山)とブラジル音楽が好き。

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