「緩和」と「適応」。どちらへ舵を切るか、温暖化対策。

今月30日から12月11日まで、フランスのパリで、気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開催される。2020年以降の世界の温暖化対策の大枠を決める重要な会議となるはずだが、そこで日本が提示しようとしている「地球温暖化の影響に対する適応計画(案)」が、10月23日に公表された。

これまで、二酸化炭素排出の抑制や、地球温暖化の緩和のためのプランや目標設定は行われてきたが、今回初めて、「適応」のためのプランが提示されることになる。このことに関しては、二つのことが考えられる。

ひとつは、IPCCの第5次評価報告書にあるとおり、「すでに気候変動は自然および社会に影響を与えており」、「将来、温室効果ガスの排出量がどのようなシナリオをとったとしても、世界の平均気温は上昇し、21世紀末に向けて気候変動の影響のリスクが高くなると予測されている」ことを受けて、策定されたこと。つまり、温暖化の影響はもう始まっていて、今後ますます深刻化するので、対応しなけりゃならない所まで来ていることが、政府の施政方針の根拠として明確に認められたこと。温暖化に関して、あるいはその原因に関して懐疑的な意見があるとしても、温暖化が進行している前提で政治は動く。

そしてふたつめ。この計画には、数値目標こそないものの、動植物の生育環境の変化への対応や、増加する自然災害に対する備えなど、さまざまな分野にわたって温暖化の影響に適応するための対策が示されているが、いずれも、「調査」「研究」「整備」「保全」「開発」「維持」「造成」「導入」「高度化」など、それなりの予算の投入が必要と思われる施策が並ぶ。

これまで、温室効果ガスの削減を目指し、さまざまな規制や開発が行われてきたが、日本の排出量は減るどころか増加傾向にある。唯一排出量が減少したのは、2008年のタイミングだけだ。この年は言うまでもなくリーマンショックの年。実質GDPの伸び率と比べてみると、二酸化炭素の排出量と景気の減速が明らかにリンクしている。

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短絡的な言い方ではあるが、景気の減速や多くの我慢を伴う温暖化の緩和策に対して、適応策はプラスの経済効果を伴うということになる。この適応策は、今後10年程度の期間を想定してのものということだが、当面の景気刺激策にもなるかもしれない。

もちろん、温室効果ガスの削減も進めなければならない。もはや完全に政治と経済の問題になった適応策と緩和策、どう両者のバランスを取っていくのかが難しいところになってくるだろう。

ちなみに、一般市民はどうすれば良いのか。計画案には、「ライフスタイルの改善等」として、打ち水の実施、緑のカーテン、省エネルギー製品の導入促進、夏の軽装が挙げられていて、緩和策イコール適応策。特に目新しいものは見当たらない。