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日本代表HC「イングランド、アルゼンチンを倒し、まずはベスト8進出を」ー2023年ラグビーW杯

松瀬学ノンフィクション作家(日体大教授)
ラグビーW杯日本大会で初めてベスト8入りした日本代表(写真:ロイター/アフロ)

 ラグビー日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)は15日、オンラインで会見を開き、組み合わせが決まった2023年ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会に向け、「まずはイングランド、アルゼンチンなどを倒し、プレーオフに進出できるチームをつくっていく」と意気込みを語った。日本代表は、昨年のラグビーW杯日本大会に続き、ベスト8進出を目指す。

 その結果、どうベスト4入り、優勝につないでいくのか。藤井雄一郎ナショナルチームディレクターは、「必然的に、目標は、世界で一番になることになっていく」と言った。

 前日パリで開かれた1次リーグの組み合わせ抽選会で、世界ランキング10位の日本代表はD組に入り、同2位で前回大会準優勝のイングランド、同8位で先日ニュージーランドを初めて破ったアルゼンチンなどと対戦することになった。ともに選手はパワフルで体格がおおきく、スクラム、ラインアウトのセットピースがつよい。フィジカルなゲームをしてくる。

 ジョセフHCは「パッと頭に浮かんでくるのは、(対策として)スクラム、ラインアウトを強化していくこと。ディフェンスも強化していかないといけない」と言葉を足した。

 「我々のラグビースタイルは、フリーフロー(自由自在)で、とてもスピードがあって、スキルを活かしていくところ。相手とは、スタイルがまったく違う。相手にしてみれば、(戦うのは)難しいでしょう」

 イングランドは日本代表の手の内を知る前日本代表HCのエディー・ジョーンズ氏が指揮を執り、ことしのシックスネーションズとオータム・ネーションズカップを制した強豪。ジョーンズHCのことを聞かれると、ジョセフHCは口元を緩め、「日本のことはよくわかっているでしょう。心理的にいろいろなことも考えてくる。(日本代表の)選手も楽しみな気持ちになるでしょう」と言った。

 かたやアルゼンチン代表“ロス・プーマス”は昨年のラグビーW杯ではフランスに惜敗するなどし、1次リーグで敗退したが、強力FWを擁するなど地力はある。11月14日には、オールブラックスを25-15で下し、歴史的な勝利を挙げた。FWだけでなく、スクラムハーフ-スタンドオフのハーフ団もいい。バックスもスピードがある。

 ラグビーW杯では、日本代表はイングランドとは1987年大会以来、アルゼンチン代表とは1999年大会以来、2度目の対戦となる。D組にはこのほか、オセアニア地区1位(サモアかトンガか)、アメリカ地区2位(米国かカナダ、ウルグアイか)の2チームが入る。

 日本代表は新型コロナウイルスの感染拡大により、ことしはすべてのテストマッチが中止となった。ジョセフHCは、来年1月に開幕するトップリーグで選手を見極め、5月のリーグ閉幕後から本格的なチーム練習に着手、6月にブリティッシュ・ライオンズと対戦することになっている。

 日本代表選手でいえば、バックスの松島幸太朗がフランスのクラブで活躍し、FWの姫野和樹はニュージーランドのクラブに挑戦。一方、エースウイングの福岡堅樹は医者になるため、代表選手から退くことを決めている。ジョセフHCは「ケンキ(福岡)のポストをどうするのか。加えて、ポジションを問わず、全体として、もう一層、選手層に厚みをつけていきたい」と課題を口にした。

 新型コロナのゆくえも不透明ながら、2023年ラグビーW杯に向けた、チーム強化のカギは「選手層」と「適応力」が握ることとなる。主な対戦相手も決まり、相手を見据えた強化がいよいよ始まる。

ノンフィクション作家(日体大教授)

早稲田大学ではラグビー部に所属。卒業後、共同通信社で運動部記者として、プロ野球、大相撲、五輪などを担当。4年間、米NY勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。1988年ソウル大会から2020年東京大会までのすべての夏季五輪ほか、サッカー&ラグビーW杯、WBC、世界水泳などを現場取材。人物モノ、五輪モノを得意とする。酒と平和をこよなく愛する。日本文藝家協会会員。元ラグビーワールドカップ組織委員会広報戦略長、現・日本体育大学教授、ラグビー部部長。著書は近著の『荒ぶるタックルマンの青春ノート』(論創社)ほか、『汚れた金メダル』『なぜ、東京五輪招致は成功したのか』など多数。

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