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糸谷哲郎八段(33)王将リーグ復帰決定! 二次予選決勝で佐藤康光九段(52)に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月2日。東京・将棋会館において第72期ALSOK杯王将戦二次予選決勝▲佐藤康光九段(52歳)-△糸谷哲郎八段(33歳)戦がおこなわれました。

 10時、佐藤九段先手で対局開始。当代屈指の力戦派同士だけに、まずは戦型が注目されるところですが、本局では定跡形からはずれた相居飛車の戦いとなります。糸谷八段は右玉、佐藤九段はしゃがみ矢倉に組みました。

 佐藤九段は角銀交換の駒損ながらうまく攻めをつなげます。対して糸谷八段は薄い玉形でしのぎ続け、勝敗不明のまま終盤を迎えました。

 持ち時間4時間を使い切って、一分将棋に入っていた佐藤九段。117手目、飛車を取る常識的な一手によって、形勢が離れたようです。代わりに角を打ち込んで王手を続け、相手玉を薄くしてから飛車を取っていればどうだったか。

 手番を得た糸谷八段は反撃に転じ、一手勝ちが臨める情勢。しかし佐藤九段も歩頭に馬を捨てる鬼手を放って最後まできわどい終盤でした。最後は糸谷玉は詰まず、佐藤玉は受けなしとなって、16時22分、150手で糸谷八段の勝ちとなりました。

 糸谷八段は前期、6連敗でリーグから陥落してしまいました。

 しかし今期、糸谷八段は豊島将之九段とともに、リーグを復帰を決めています。新参加の服部慎一郎四段と合わせて3人、二次予選を勝ち抜いたのは、いずれも関西勢でした。

 藤井聡太王将への挑戦権を争うリーグ。今期も一騎当千の精鋭7人が揃いました。

 佐藤九段と糸谷八段の対戦成績はこれで佐藤3勝、糸谷9勝となりました。両者は今期A級最終戦でも対戦します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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