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大器・伊藤匠五段(19)竜王戦6組優勝&本戦進出決定! 同い年の高田明浩四段(19)に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 5月19日。東京・将棋会館において第35期竜王戦・6組ランキング戦決勝▲高田明浩四段(19歳)-△伊藤匠五段(19歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は21時54分に終局。結果は108手で伊藤五段が勝ちました。

 伊藤五段は竜王戦参加2期目で6組優勝。初の本戦進出を決めています。

 敗れた高田四段は本戦には進めませんが5組昇級はすでに決まっています。

「藤井世代」の決勝戦

 将棋界のあらゆる記録を塗り替えつつある藤井聡太竜王(19歳)。その年間勝率5年連続1位を阻止したのが同い年の伊藤五段でした。

 高田四段もまた同じ2002年生まれです。

 今期竜王戦6組。伊藤五段は西山朋佳女流二冠、佐藤秀司八段、中田功八段、今泉健司五段、斎藤明日斗五段に勝って決勝に進出しています。

 一方の高田四段は豊川孝弘七段、古賀悠聖四段、古森悠太五段、渡辺和史五段、門倉啓太五段を連破。参加1期目で決勝まで勝ち進んできました。

 本局は高田四段先手で、戦型は三間飛車。対して伊藤五段は居飛車穴熊に組みました。伊藤五段の動きに高田四段が応じて戦いが始まります。

 伊藤五段は少ない攻め駒を巧みに使ってリードを奪います。飛車を取らせる間に高田陣の美濃囲いに食いつく形を作り、優勢のうちに終盤を迎えました。

 伊藤五段は高田玉周辺の狭い空間、ただで取られる場所に桂、香を放って手をつなぎます。高田四段も懸命にしのぎますが、最後は穴熊の伊藤玉の遠さが生きる形に。伊藤五段が高田玉を詰ませて終局となりました。

 伊藤五段はこれで初の本戦進出が決まりました。対戦相手は5組優勝の佐々木大地新七段です。

 竜王戦では過去34期、5組、6組からの優勝がありません。今期、佐々木七段-伊藤五段戦の勝者が台風の目となる可能性は十分にありそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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