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「まずは第4局につなげることができてよかった」棋王戦五番勝負カド番の永瀬拓矢挑戦者(29)初勝利

松本博文将棋ライター

 3月6日。新潟県新潟市・新潟グランドホテルにおいて第47期棋王戦五番勝負第3局▲永瀬拓矢挑戦者(29歳)-△渡辺明棋王(37歳)戦がおこなわれました。

9時に始まった対局は17時54分に終局。結果は87手で永瀬挑戦者の勝ちとなりました。

 2連敗でカド番に追い込まれていた永瀬挑戦者は、まず1勝を返しました。

 両者の通算対戦成績はこれで渡辺18勝、永瀬6勝となりました。

 第4局は栃木県日光市・日光東照宮でおこなわれます。

第3局終局後コメント 

永瀬挑戦者「(角換わり腰掛銀で43手目▲6八玉が工夫に見えたが、わかれは?)わかれですか。えー・・・。こちらの王様が薄いので、自信がないのかな、と思ったんですけど。(48手目)△7五歩のときに有力な手というイメージだったんですけど、ちょっと具体的に▲4五歩では変だったかも。▲6八玉と▲4五歩との相性がわるかったかもしれないので。△同歩とされてちょっと指し方がわからなかったです。(54手目△4六歩に対して小考3分で▲4五桂と跳ねた)やはり▲6八玉が薄い形なので、なんか自信がないのかな、と思いながら指してはいました。こちらとしては両取り(64手目△3八銀で飛車金両取り)かけられて、攻めるのはしかたないような感じがしたので▲4四銀と出てどうなっているかなと思いました。よくわからなかったんですけど、まだこちらの王様が詰めろがかかっていない形なので、先に(相手玉に)詰めろをかける形になったので、難しいような気はしました。(優勢になったと思ったのはどのあたり?)そうですね。(優勢と)思ったところはなかったんですけど、一手こちらの攻めが早ければ、かなと思いました。まずは第4局につなげることができてよかったと思いますので、せいいっぱい準備してがんばりたいと思います」

渡辺棋王「(昼休前)手が広いところかなと思ったんですけど。△7五歩と突いたからには▲4五歩△同歩なのかな、と思ったんですけど。手は広いかな、とは思ったんですけど。(60手目△8六歩に代えて△3八銀は?)ああ、単に? そうですね・・・。(頭に手をやり考える)ちょっと味が違うんですね。ちょっとそのあたりがよくわかってなかったので。△8六歩は入っても入んなくても、部分的には△3八銀まではなるのかなと思ってたんですけど。ちょっと、速度計算が全然わかってなかったです。いきなり折れてしまったような将棋になってしまったので、そこはちょっと残念ですね。(第4局に向けて)今日の将棋は早めにダメにしてしまったので、次は立て直していけるようにしたいと思います」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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