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「2年連続で結果を出せたことはよかった」名人戦挑戦権を獲得した斎藤慎太郎八段(28)コメント

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

斎藤慎太郎八段「(8回戦・豊島将之九段戦、先手番で角換わり腰掛銀を選択)序盤は指してみたい将棋で。前例もほとんどない展開だったと思うんですけど。一応桂得を途中は主張できているかな、と思ってたんですけど。ちょっと中盤からはあわててしまって。かなりまずい将棋だったかな、とは思うんですが。ただ一応、最後まであきらめずに指そうというところでした。(序盤43手目▲6八金から▲7八玉は)ありそうなんですけど、こちらから選ばないとならない局面かなと思うので。一応、工夫のつもりで。この局面になったら▲6八金とやろうと。(60手目△2三歩は豊島1時間50分、次の▲2九飛は斎藤1時間42分と両者長考が続いた)△2三歩と打たれるところは手が広いところなのかな、と思っていたので、いざ歩を打たれると、なかなか前にはいけないな、というところで。まあ本譜は桂得だけど押し込まれるという局面なんで、ちょっと見通しが立たないまま・・・。まあただ一応、主張はあるのかなと思ってました。(72手目△5四銀に豊島1時間33分、次の▲6七歩に斎藤1時間20分の長考)そうですね、一応△5四銀を見て、少しよくできないか、というところだったんですが、ちょっと悩んだ末にまずい展開だったかなというところで。こちらもたぶん、かなり候補手があったので、そこで正解を指せなかったのかな、というのが、そうですね、手が広くて悩んだという長考でした。終盤の手前ぐらいはかなりダメなのかな、と思っていたので。最後(119手目)▲2三飛車成ぐらいの局面は、まあ、この局面なら本望というか。詰まされても仕方ないと思ったんですが、一番勝負形にできたかなというふうに見ていました。(先に糸谷八段が敗れ、また斎藤八段も勝って8勝0敗で2年連続名人決定)そうですね、まあ、順位戦の対局は出来すぎぐらいの、自分の実力からすると、とは思っていたんですが、本局はかなり中盤に厳しい課題を感じましたので、まだまだ直さないといけないところが多いかな、とは思うんですが。まあ、一応、2年連続で結果を出せたことはよかったかなあ、と思います。(最終9回戦では糸谷八段と対戦)変わらず、といいますか。一応、順位は決まっていますが、一局一局集中して対局するというのは最初から決めていることなので、それは変わりませんが、できるなら本局の中盤のミスがないような、よい将棋を指して、名人戦につながる一局になればな、と思います。(名人戦七番勝負の相手は渡辺明名人で、前期は第1局に勝ったあと4連敗した)もちろん、昨年は強いところをもちろん見せられましたし、個人的には大きく課題を感じまして。特に2日制の対局というところの反省を活かすのであれば、2日制のタイトル戦にもう一度出るしかないとは思っていたので。楽しみもありますね。昨年とは違う将棋を指したいなと思っているので。そのチャンスが来たことは楽しみかなと思います」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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