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広瀬章人八段(34)王将リーグ白星スタート! 難敵・豊島将之竜王(31)を降す

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月23日。東京・将棋会館において第71期ALSOK杯王将戦・挑戦者決定リーグ1回戦▲豊島将之竜王(31歳)-△広瀬章人八段(34歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は18時26分に終局。結果は76手で広瀬八段の勝ちとなりました。

広瀬八段「やっぱり初戦の結果は今後のモチベーションというか、大きく影響してくるところなので、いいスタートを切れたのかな、と思います」

 両者の通算対戦成績は広瀬11勝、豊島14勝となりました。

広瀬八段、正確な終盤力で開幕局を制す

 前期リーグでの両者の対戦は、まず200手で持将棋。プラス126手で指し直し局が終わったのは日付が変わった0時44分という死闘でした。

 本局は豊島竜王先手で、戦型は相掛かりとなりました。

 豊島竜王が端角で歩をねらったのに対して、広瀬八段はあえてその歩を取らせて手早く銀を出ていきます。

広瀬「先手の指し方は最近注目されていて、テーマ図でもあったので、ちょっと変わった作戦ではあったんですけど、やってみようかなと」

豊島「歩得ですけど、ちょっと手が遅れているので、そんなに自信があったわけではないんですけど」

 いかにも現代将棋という進行。筆者が知る限りでは、2019年のコンピュータ将棋選手権、優勝の決まった一局でもそうしたやり取りがありました。

 ほぼ互角か、わずかに豊島竜王ペースかとも思われた中盤戦。豊島竜王は25分を使って、自陣に筋違い角を据えて敵陣突破をはかります。

豊島「ほかの手を指してもそんなに有利という感じではないですけど。もう少し考えないといけなかったですね」

 広瀬八段も角を打ち返して反撃。一気に激しい変化に飛び込み、終盤戦に入りました。

広瀬「きわどい勝負なので、なんともいえないところですね」

 63手目。豊島竜王は銀を成れば王手できるところ、あえて不成で広瀬玉に寄せ、詰めろをかけます。対して広瀬八段は豊島陣に飛車を打ちこみ、豊島玉に王手。白熱した終盤の攻防が続きましたが、このあたりから次第に広瀬八段がリードを奪ったようです。

 最後は豊島玉を守る金銀を広瀬八段の桂が着実にはがす展開。広瀬玉はつかまらず、豊島玉は受けても一手一手。広瀬八段の正確な終盤力が光る展開となって、開幕局は広瀬八段に軍配が上がりました。

 昨年の持将棋、指し直し合わせて326手という手数とは対照的に、今期は76手と、比較的短手数での終局となりました。

 広瀬八段は2期ぶりの挑戦に向けて好スタート。一方で豊島竜王もまだまだ挑戦の可能性は残されています。

 好カード目白押しの本リーグ。9月27日には▲糸谷哲郎八段-△藤井聡太三冠戦がおこなわれます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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