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佐々木勇気七段(27)B級1組で5戦無敗のトップ! 1敗は千田翔太七段(27)藤井聡太三冠(19)

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月16日。東京、大阪の将棋会館において第80期順位戦B級1組5回戦、5局がおこなわれました。

▲郷田真隆九段(49歳)-△千田翔太七段(27歳)戦は両者3勝1敗同士の好カードでした。

 郷田九段先手で、序盤は矢倉模様。両者妥協なく、早い段階で大決戦の順に飛び込みます。

 終盤、千田七段は歩頭に銀を上がる妙手を指し、攻防の決め手に。20時51分、68手の短手数で終局となりました。

 千田七段はこれで4勝1敗。B級1組3期目の今年、初のA級昇級を達成できるでしょうか。千田七段は森信雄七段門下。A級には現在、兄弟子の山崎隆之八段と糸谷哲郎八段が在籍しています。

 ▲松尾歩八段(41歳)-△佐々木勇気七段(27歳)戦はここまでの星取りが対照的。松尾八段が3連敗なのに対して、佐々木七段は4連勝です。とはいえ、松尾八段はこのクラス13期目「番人」とも言われる存在。佐々木七段にとっても大きな関門の一人です。

 松尾八段先手で、戦型は相掛かり。難しい序中盤で、後手の佐々木七段はこんこんと考え、惜しみなく時間を使います。夕食休憩明けの44手目。佐々木七段はじっと自陣の歩を突きました。この段階で持ち時間6時間のうち、残りは松尾3時間34分、佐々木1時間28分。大一番らしいスローペースと言えます。

 64手目。佐々木七段は角を切って銀と刺し違え、松尾玉に迫ります。形勢は次第に佐々木七段よしへと推移していきました。

 互いに飛車先を突破して、相手陣に成り込む最終盤。松尾玉は下段に落ち、左右はさみうちの形。一方で佐々木玉も追い込まれたものの、上部に逃げてつかまらない形です。最後は中段五段目まで佐々木玉が逃げ出し、23時36分、110手で佐々木七段の勝ちとなりました。

 佐々木七段はこれで5勝0敗。B1参加1期目にして、昇級争いのトップに立っています。

 5回戦の残る1局▲藤井聡太三冠(3勝1敗)-△木村一基九段(1勝2敗)戦は9月20日におこなわれます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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