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【年度内六冠ロード】藤井聡太二冠(19)王将リーグ復帰を決める! 難敵・稲葉陽八段(33)に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 8月16日。大阪・関西将棋会館において第71期ALSOK杯王将戦・二次予選決勝▲稲葉陽八段(33歳)-△藤井聡太二冠(19歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は17時24分に終局。結果は106手で藤井二冠の勝ちとなりました。

 藤井二冠は二次予選を勝ち上がり、王将リーグ復帰を決めました。

 藤井二冠の2021年度成績は21勝4敗(勝率0.840)となりました。

 藤井二冠は今年度最大六冠まで獲得できる可能性を残しました。

藤井二冠、二転三転の熱戦を制する

 稲葉八段先手で、戦型は角換わり早繰り銀。現在の最新形です。35手目、稲葉八段が守りの銀を6筋ではなく8筋に引く新工夫を見せ、前例から離れました。

 午後の戦いに入り、まずリードを奪ったのは藤井二冠でした。稲葉八段は辛抱をしたあと、強く反撃に出ます。勝負手を放ち、相手に飛の成り込みを許す代償に角を取り、いつしか形勢は稲葉よしとなりました。

 稲葉八段は王手をかけて藤井玉に迫ります。対して藤井二冠は残り2分と時間がほとんどない中、絶妙のステップを踏んで玉を逃し、いつしか勝敗不明に持ち込みました。

 比較的時間に余裕のある稲葉八段。あるいは千日手が最善かと思われた局面で、稲葉八段は違う手段で勝ちにいきます。

 形勢はついに藤井二冠優勢、そして勝勢となりました。そして残り時間が2分のまま変わりません。

深浦「残り2分がなかなか減らない。『永遠の2分』ってやつですね」

 最後は藤井二冠がきれいに稲葉玉を詰ませます。いつもながらに鮮やかなフィニッシュでした。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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