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レジェンド・羽生善治九段 VS 若手実力者・佐々木大地五段 王位戦リーグ白組3勝1敗決戦始まる

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 5月7日。東京、大阪の将棋会館において、お~いお茶杯第62期王位戦・挑戦者決定リーグ最終5回戦がおこなわれます。

 白組最終戦の組み合わせは以下の通りです。(▲=先手、△=後手)

▲永瀬 拓矢王座(3勝1敗)-△近藤 誠也七段(2勝2敗)

△羽生 善治九段(3勝1敗)-▲佐々木大地五段(3勝1敗)

▲池永 天志五段(1勝3敗)-△長谷部浩平四段(0勝4敗)

 羽生九段-佐々木五段戦は勝った方がプレーオフ以上確定で、優勝の可能性を残します。

 永瀬王座は近藤七段に勝てば羽生-佐々木戦の勝者と4勝1敗で並び、プレーオフを戦うことになります。永瀬王座が負ければ羽生-佐々木戦の勝者が優勝です。

 佐々木五段は前局で永瀬王座に勝ち、3勝1敗で並びました。

 佐々木五段はいつブレイクしてもおかしくはない若手実力者。藤井王位にも勝ち越しています。

 昨日、佐々木五段の師匠である深浦康市九段は、藤井王位の20連勝を阻止しました。

 深浦九段と羽生九段は、王位戦七番勝負の舞台でも3度対戦するなど、激闘を繰り広げてきました。王位獲得数は深浦3期、羽生18期。公式戦対戦成績は深浦33勝、羽生48勝です。

 佐々木五段は本局に勝つことが師匠への一番の「恩返し」となりそうです。

 ずっと将棋界の王者として戦い続けてきた羽生九段。五十代に入った現在、ファンからはタイトル通算100期、そして藤井聡太王位とのタイトル戦番勝負での対戦が期待されています。

 羽生九段と佐々木五段は過去に3回対戦。羽生2勝、佐々木1勝という成績が残されています。

 本局は佐々木五段先手で角換わりに。ただし後手番の羽生九段が3三の地点に銀ではなく金を進める趣向を見せています。対局が始まって1時間経った現在は23手目、佐々木五段がじっと端1筋の歩を突いたところまで。もうしばらくは、じっくりとした進行が予想されます。

 一方、▲永瀬-△近藤戦は相掛かりから乱戦に。両者妥協せずに踏み込んで、早くもすさまじい展開になっています。

 紅組最終5回戦の対局カードは以下の通りです。

△木村 一基九段(3勝1敗)-▲斎藤慎太郎八段(2勝2敗)

▲豊島 将之竜王(3勝1敗)-△片上 大輔七段(0勝4敗)

▲澤田 真吾七段(3勝1敗)-△佐藤 天彦九段(1勝3敗)

 紅組は木村一基王位、豊島将之竜王、澤田真吾七段が3勝1敗で並び、この3者が優勝の可能性を残しています。

 藤井聡太王位への挑戦権を目指してのサバイバルマッチ。生き残るのは誰でしょうか。

 王位戦リーグの持ち時間は各4時間。途中で昼食休憩(40分)をはさみ、夕食休憩はなく、通例では夕方から夜にかけての終局となります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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