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丸山忠久九段(50)叡王戦本戦進出決定! 九段戦決勝で久保利明九段(45)に快勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月20日。第6期叡王戦段位別予選・九段戦C決勝▲丸山忠久九段(50歳)-△久保利明九段(45歳)戦がおこなわれました。

 19時に始まった対局は21時5分に終局。結果は101手で丸山九段の勝ちとなりました。丸山九段はこれで本戦進出決定です。

丸山九段、安定した実力を示す

 将棋界のスターが揃う九段戦。丸山九段は屋敷伸之九段、鈴木大介九段、佐藤天彦九段を破って予選決勝まで進みました。

 一方の久保九段は井上慶太九段、藤井猛九段に勝っています。

 本局は丸山九段先手で対局開始。振り飛車党の久保九段は四間飛車に振ります。

 丸山九段は左美濃に組んでから銀冠にスイッチ。駒組がまだ続くかとも思われたところで角筋をあけ、戦端が開かれました。

 久保九段が端9筋を突き越していたのに対して、丸山九段はその筋から逆襲。巧みにリードを奪いました。

 70手目。久保九段は攻防の角を放ちます。この勝負手に対して、丸山九段はきっぱりと久保玉を寄せにいきました。

 久保玉はあともう1枚歩があれば詰みという形。しかしその1歩は駒台にはありません。ここさえしのげば久保九段有望かと思われたところで、丸山九段に鮮やかな決め手が出ました。

 79手目。久保九段は自陣の飛車で相手の歩を取ります。一見、飛車がタダのようですが、飛車を取られても「一歩千金」の言葉通り、手にした1枚の歩を王手で打てば久保玉は詰みます。 

 久保九段は飛車を取ることができず、辛抱を重ねます。前局の藤井九段戦では最終盤のがんばりが功を奏して逆転に成功しました。

 しかし本局、丸山九段の寄せは確実でした。最後は久保玉を即詰みに討ち取り、対局終了。見事に難関ブロックを突破しました。

 段位別予選も残すところあと2枠。22日には九段戦Bの準決勝、決勝がおこなわれ、まずは羽生善治九段と森内俊之九段が登場します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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