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公式戦18連勝中・藤井聡太二冠(18)竜王戦2組優勝をかけて八代弥七段(27)と対戦開始

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月16日10時。東京・将棋会館において第34期竜王戦2組ランキング戦決勝▲藤井聡太二冠(18歳)-△八代弥七段(27歳)戦が始まりました。

 振り駒の結果、先手は藤井二冠。両者一礼のあと、藤井二冠は紙コップに注がれたお茶を飲んだあと、しばし瞑想。そして7筋の歩を手にして前に進め、角筋を開きました。八代七段は8筋、飛車先の歩を伸ばします。戦型は相矢倉となりました。

 藤井二冠は早囲いで玉を移動させ、八代七段は矢倉の堅陣に玉を収めています。

 11時半頃、藤井二冠は35手目、端1筋を突きました。慎重な序盤戦が続き、駒がぶつかるのは当分先のここと予想されます。

 竜王ランキング戦の持ち時間は各5時間。昼食、夕食休憩をはさんで、通例では夜に終局となります。

 藤井二冠にとってはランキング戦5期連続優勝、ランキング戦23連勝&公式戦18連勝の継続など、様々な記録がかかっている本局。しかし藤井二冠自身はいつもの通り、そうした記録には関心がなく、目の前の一局に集中する姿勢なのでしょう。

 対局者の八代七段は藤森哲也五段のYouTubeチャンネル「将棋放浪記」で次のように抱負を語っていました。

八代「普段通りがんばりたいな、っていうのがまず第一なんですけど、やっぱり注目される舞台だとは思うので、自分が持てる力を出し切れば、きっといい将棋が指せるなというふうには感じています」

 八代七段は2016年度に朝日杯で優勝しています。全棋士参加棋戦で1度でも優勝できれば、それはとても大きな実績です。

 一方で藤井二冠はその朝日杯ですでに3度優勝・・・。ちょっと形容する言葉が見つかりません。

 藤井二冠、八代七段はともに竜王戦本戦進出はすでに決まっています。そして本局に勝って2組優勝した側が挑戦権に1局分近い位置に配されます。

「あれ、渡辺名人、竜王戦はどうされました・・・?」

 上の表を見てそう思われる方もおられるかもしれません。豊島将之竜王が頂点に君臨し、永瀬拓矢王座は1組、藤井二冠は2組優勝をうかがう現在。「四強」の一角である渡辺名人の名が見当たらないのは、2組準決勝で八代七段に敗れたからです。

 特別対局室では本日、本局と並んで棋聖戦準決勝▲渡辺明名人-△山崎隆之八段戦がおこなわれています。

 こちらもまた、大変に注目される一局。最終的に藤井棋聖への挑戦権を獲得するのは、誰でしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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